2011 Fiscal Year Annual Research Report
日本で生活する外国人の保健医療福祉サービス利用に関わる文化変容尺度の開発
Project/Area Number |
22792276
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
呉 珠響 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 助教 (80511401)
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Keywords | 文化変容 / 外国人登録者 / 看護学 |
Research Abstract |
本研究は、日本で生活する外国人の保健医療福祉サービスの利用状況と文化変容の実態について明らかにし、日本で生活する外国人の文化変容尺度を開発することを目的とする。外国人登録者数の増加に伴い、彼らの文化変容をアセスメントの一項目として捉え彼らのニーズを把握した看護の提供が求められている。 平成23年度は、日本で生活する外国人を対象に実施したインタビュー調査をまとめた。まずフィリピン人を対象とした調査では、研究テーマを「Acculturation and eating habits : A case study of Filipinos living in an urban area of Japan」としてまとめた。本研究は日本の都市部で生活するフィリピン人の食習慣が文化変容によってどのように変化するのかを明らかにすることを目的とし、分析の結果、彼らは自身の伝統的食習慣を維持しながらも、日本の伝統的食習慣も取り入れていることが明らかとなった。次に韓国人を対象とした調査は、研究テーマを「The acculturation level and the use of health services among registered elderly Koreans living in an urban area of Japan」としてまとめた。本研究は、日本の都市部で生活する韓国人高齢者の文化変容レベルと彼らのヘルスサービスの利用について明らかにすることを目的とし、分析の結果、彼らはアイデンティティや習慣を維持しながらより大きな社会的ネットワークに参加して効果的にヘルスサービスを利用している「統合レベル」と、自身の文化的なものに価値を置きより大きな社会的ネットワークとの相互作用は避けながらヘルスサービスを必要に応じて利用している「分離レベル」の2種類の文化変容レベルに分類された。上記でまとめた調査結果の一部は、次年度開催予定の国際学会で発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、日本で生活する外国人の保健医療福祉サービスの利用状況の実態把握と、類型化した文化変容のプロセスを明らかにし日本で生活する外国人の文化変容の予備尺度を開発することを目的としていた。現在までの達成度としては、インタビュー調査により、都市部で生活する韓国人、フィリピン人が生活するコミュニティや彼らが集まる施設等において彼らの文化変容のレベルやプロセスと保健医療福祉サービスの利用状況について情報収集を行なった。しかし、前年度に文献検討で選定した既存尺度の項目、フィールドワークにより得られた情報から選定した文化変容を構成する項目をもとに予備尺度を作成し、都市部における韓国人、フィリピン人が生活するコミュニティや彼らが集まる施設等において質問紙調査を実施するところまでには至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は今年度に引き続き、都市部で生活する外国人を対象にインタビュー調査を行い、その結果から逐語録を作成し、文化変容のプロセスについて分析する。また、前年度までに実施した文献検討により選定した既存尺度の項目、フィールドワーク(インタビュー、参加観察、地区踏査)により得られた情報から選定した外国人の文化変容のレベルやプロセスを構成する項目をもとに、尺度の質問項目を生成する。
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