2010 Fiscal Year Annual Research Report
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22800020
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
飯田 香穂里 総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 助教 (10589667)
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Keywords | 遺伝学史 / ルイセンコ / 占領期、冷戦期 / 木原均 |
Research Abstract |
本研究では日本の遺伝学の発展が米軍占領期から冷戦期にかけての政治的社会的背景の中でどのように発展していったのかを調べている。当該年度では、敗戦から1950年代半ばにかけての木原均の言動に注目し、遺伝学概念、研究内容、遺伝学という分野の維持活動に関するさまざまな文献を調査した。また、木原の周辺の動向をも含めて広く分析するために、木原の著作(書籍、論文、記事、ノートなど)だけでなく、戦後の遺伝学再建に関わった人々の著作や記録、米国の図書館やアーカイブズにおいては、米国遺伝学者の残した手紙類、日米間のさまざまな協力事業に関連する史料などを収集、分析した。さらに、木原の昔の教え子である方からも直接話を聞き、当時の遺伝学のあり方に対する知見を深めた。 この研究により、物理学や工学のような目に見える戦争協力技術を持たなかった遺伝学においても、学問的概念、分野の確立・存続の仕方などの多方面において多大なる政治的社会的影響を受けていることがわかりつつあり、このまま23年度も研究を続けていきたいと思う。
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