2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22800020
|
Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
飯田 香穂里 総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 助教 (10589667)
|
Keywords | 遺伝学史 / 冷戦 / 国立遺伝学研究所 / 木原均 |
Research Abstract |
本研究では、米軍占領期から冷戦期にかけての政治的社会的背景の中で、日本の遺伝学がどのように発展していったのかを調べた。当該年度では、日本の遺伝学と冷戦の関係を分析するため、国内と米国のアーカイブズでさまざまな文献を調査した。特に冷戦期に国立遺伝学研究所がどのように発展したのかを調べるため、ロックフェラー財団との関係に着目し史料調査を行った。また、木原均(1955年より遺伝研の所長)の遺伝概念、研究内容、遺伝学という分野の維持活動に関するさまざまな文献調査も前年度に引き続き行った。 本研究により、物理学や工学のような目に見える戦争協力技術を持たなかった遺伝学においても多方面において多大なる政治的社会的影響を受けていることが明らかになってきた。特にルイセンコ論争により、特定の遺伝概念に「マイナス」のレッテルが貼られることで、遺伝学の概念や研究方法の選択にも影響が及んだようである。また、冷戦期の米国の政治的意図と日本側の意図が遺伝研の発展過程において複雑に絡み合っていることも明らかになりつつある。
|
Research Products
(1 results)