2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22830061
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
宇山 通 大阪市立大学, 大学院・経営学研究科, 特任講師 (50584041)
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Keywords | 新興諸国市場 / 戦略 / 生産システム / 自動車 / 品種 |
Research Abstract |
今日新興諸国市場は世界自動車企業における競争の主戦場となった。同市場の中間所得層は極めて低価格な製品のみ購入可能である。ゆえに日本自動車企業は低コスト化を最優先した生産システムの構築へと向かい、品質や製品多様性は犠牲にされる傾向にある。 だが製品多様性は日本自動車企業の競争力の源泉として従来指摘されてきたものである。よって製品多様性の下げ方次第では、日本自動車企業は今後自社の競争力を喪失させかねない。現在進められている少品種化は日本自動車企業の生産システムの展開にどう位置づけるべきか。 これを考える上で重要なことは、多品種化にせよ少品種化にせよ、それが生産拡大の条件となる限りで採用されるということである。よって現在進められている少品種化は、"生産拡大の歴史における局面"として捉える必要がある。 この局面を市場、競争、工場の3つの変化から考察した。主体としてトヨタ自動車(株)をとりあげた。同社は日本、北米(特に米国)、アジア(特に中国)市場を重視してきた。日本、米国、中国市場の順に多様化が進展した。トヨタは最も多様化の進展している日本において工場の多様化(多品種生産)を展開してきた。米国、中国では工場の少品種化(少品種生産)を展開してきた。両国市場の多様な死に筋車種の供給は日本工場が担った。すなわち死に筋車種の集中生産(日本)、売れ筋車種の少品種大量生産(米国、中国)という分業である。 この分業の採用は、2002~2007年における北米を中心とした急激な市場拡大への効率的な対応を狙った戦略と考えられる。しかし2008年頃から中国市場のプレゼンスが強まり(北米、日本のプレゼンスが弱まり)、幅広い死に筋車種を維持するメリットが縮小した、新興諸国市場に強いVW等の存在がこの縮小に拍車をかけている。 現在進められている日本自動車企業の少品種化の背景には、市場、競争、工場に関する上記の変化がある。(800文字)
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Research Products
(1 results)