2011 Fiscal Year Annual Research Report
高機能性金属/セラミックスナノ積層薄膜の変形・破壊の力学
Project/Area Number |
22860053
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
中谷 正憲 兵庫県立大学, 工学研究科, 助教 (80581553)
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Keywords | 積層薄膜 / 自立 / 機械的特性 / アルミニウム / アルミナ |
Research Abstract |
本研究はセラミックスと金属を交互に積層させた金属/セラミックス積層薄膜の機械的特性評価を目的として,今年度は薄膜試験片の成膜条件および試験法に関する検討を実施した, 積層薄膜の成膜にはイオンビーム支援蒸着法を用い,電子ビーム蒸発によりアルミニウムを蒸着しながら,金属層の成膜にはアルゴンイオンを,セラミックス層として窒素イオンビームを照射して窒化アルミニウムを成膜し,イオン種を周期的に変化させることで金属とセラミックスの積層薄膜の作成を試みた.この手法では,電子ビーム蒸着と同時にイオンビームを照射することで化合物薄膜を形成するだけでなく,イオンビームの照射による各層間の密着性向上が期待された.しかしながら,層の厚さが100nm以下になると,イオンビームの照射による打ち込み効果が大きく現れ,当初の想定よりも緩やかな組成傾斜を有する界面が形成されることを元素分析により確認した.また,イオンビーム照射によって成膜時に内部応力が発生し,薄膜を自立化した際に内部応力により瞬時に破断してしまうことが問題となった. また,強度評価試験法の改善を行った.昨年度は作成した自立薄膜試験片を一旦別の冶具に移した上で,それを試験機に取り付けることで試験を行っていたが,複数の段階を経ることで,試験片に損傷を生じる確率が高かった.そこで,アセトン浸漬により犠牲層を除去してできた自立薄膜試験片をそのまま引張試験機に取り付ける方法を考案し,試験システムの改造を行った.その結果,膜厚500nmの自立薄膜に対して安定した強度評価試験の実施が可能となった.今後,引き続き自立積層薄膜の引張試験を行い,積層構造に対する機械的特性の依存性を明らかにする.
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