2010 Fiscal Year Annual Research Report
カンボジア王国における漁業技術の変化が及ぼす生産/流通体制への影響
Project/Area Number |
22880023
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
堀 美菜 高知大学, 教育研究部・総合科学系, 助教 (60582476)
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Keywords | 小規模漁業 / トンレサープ湖 / カンボジア / 東南アジア / 水産物流通 |
Research Abstract |
カンボジア王国の沿岸域(シバヌークピル特別市、コッコン州、カンポット州)において、小規模な漁業活動の現状把握を漁業者に対する聞き取り調査により行った。主な漁法はカニ籠、カニ刺網、刺網(魚、エビを対象)であり、特にノコギリガザミ、タイワンガザミが主要な漁獲物であった。漁業技術の変化について、主要な漁具において近年導入されたものは確認されなかった。しかし、一部、個人的なネットワークにより、今まであまり利用していなかったタコ資源を、ベトナムから導入した貝殻を利用した漁業(貝殻自体もベトナムから取り寄せ)で行っている漁業者が確認された。またカニ籠などの漁具に使用する材料については、1995年以降、竹製から金属製へと変化していることが確認された。漁業の現状把握に加えて漁獲物の販売及び流通経路を把握するため、水揚場、水産物市場、水産物加工場において仲買業者や卸売業者に対する聞き取り調査を実施した。国際的な競争力を持つ商品としてエビ類、シャコ、ノコギリガザミ、タイワンガザミ、養殖のハタ類が挙げられた。天然の水産物については、商業的な中規模・大規模漁業による漁獲物に加えて、小規模な漁業者の漁獲物が仲買業者によって集積され、市場や工場へと出荷されていた。価格設定については、小規模な漁業者が仲買業者に販売する時点では種類・サイズ別であるが、殻向きなどの加工を経て、処理方法や部位別の値段が設定されていた。カンボジアでは近隣のベトナムやタイと比較して、水産物の加工があまり進んでおらず、工場数も少ないが、輸出品となる水産物の一次加工の技術導入が、今後水産物の価格に影響を及ぼすことが示唆された。今年度は主に沿岸域において調査を展開したが、次年度はトンレサーブ湖周辺においても同様に漁業の現状把握と水産物の利用実態のための調査を実施する予定である。
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Research Products
(1 results)