2010 Fiscal Year Annual Research Report
Pdx1転写因子複合体によるエピジェネティックな膵β細胞機能調節機構の解明
Project/Area Number |
22890027
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
荒木 修 群馬大学, 医学部, 医員 (80589482)
|
Keywords | 糖尿病 / 膵β細胞 / 転写因子 / エピジェネティクス / 発現制御 |
Research Abstract |
Pancreas duodenal homeobox gene 1 (Pdx1)はインスリン遺伝子の発現や膵β細胞の維持に重要な役割を果たす転写因子である。本研究では、Pdx1転写因子複合体による転写調節機構の包括的な理解と成熟膵β細胞におけるエピジェネティクな修飾状態を明らかにし、糖尿病におけるエピジェネティックな変化によるβ細胞機能不全のメカニズムの解明につなげるとともに、人工多能性幹細胞(iPS細胞)や胚性幹細胞などの各種幹細胞からの膵β細胞分化・再生の指標を得ることを目的としている。 そのために(1)タンデムアフィニティータグ発現精製と質量分析によるPdx1転写因子複合体の同定と機能解明、(2)クロマチン免疫沈降法とマイクロアレイを利用した膵β細胞におけるPdx1標的遺伝子の同定、(3)糖尿病膵β細胞におけるPdx1を介したエピジェネティックな制御機構の解明、について実験を計画している。 本年度は、タンデムアフィニティータグ(FLAG-HA)融合Pdx1蛋白安定発現膵β細胞株の樹立とPdx1蛋白複合体の精製に関して研究を実施した。マウス膵β細胞株(MIN6およびBeta-TC-6)を培養し、RNAを調整、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応にてマウスPdx1相補的DNAをクローニングした。得られたマウスPdx1相補的DNAにFLAG-HAタグを付加し、哺乳類発現ベクターを用いFLAG-HA-Pdx1融合蛋白を安定発現する細胞株を作成、樹立した細胞株より核蛋白を調整しアフィニティータグ精製にて、Pdx1転写因子複合体の精製を試みた。現在、複合体構成蛋白の同定と機能解析を継続して行っている。今後、クロマチン免疫沈降法とマイクロアレイを用いたゲノム上のPdx1結合領域のプロファイリングとPdx1標的遺伝子の同定、及び、糖尿病モデルマウス膵β細胞におけるPdx1機能の解析を行う。
|