2010 Fiscal Year Annual Research Report
性別適合手術及び戸籍上の性別変更を終えた性同一性障害当事者の心理過程に関する研究
Project/Area Number |
22890029
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
浦尾 悠子 千葉大学, 大学院・看護学研究科, 助教 (40583860)
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Keywords | 性同一性障害 / 性別適合手術 / 性別変更 / 心理過程 |
Research Abstract |
1.研究の具体的内容 性別適合手術を終えたGID当事者の心理過程に関する先行研究(修士論文)で得られた結果を検証するため、計121項目の質問項目を作成し、性別適合手術を終えているGID当事者5名(MtF2名、FtM3名)を対象に、1時間程度の構造化面接(自由回答含む)を実施した。各項目に対し「当てはまる」「当てはまらない」「どちらともいえない」の3件法で回答を得た上で、「当てはまる」とされなかった項目については、自由回答としてその理由を語ってもらった。面接後、項目毎に回答を集計し、自由回答については逐語録を作成した。逐語録は、内容を整理した上でコード化して比較分析を行い、先行研究の中で抽出された概念の妥当性についての確認(データトライアンギュレーション)を行った。また、来年度実施する研究の理論的サンプリングの方向性や、インタビューガイドの内容について検討した。 2.本年度の研究成果 先行研究で抽出された概念の妥当性が確かめられた点としては、性別移行を終えたGID当事者は、GID当事者である自分自身を前向きに受け止めていることや、「望んだ性別の人」に近づくことよりも自分らしく生きることに主眼をおいていること、などであった。一方、妥当性が確かめられなかった(「当てはまる」とされなかった)点としては、性別や世代間での捉え方の差異による影響が示唆された他、個々の認識や価値観の多様性が示唆された。 以上のことから次年度の研究では、性別や世代間での差異を念頭に置きつつ理論的サンプリングを行い、また個々の認識や価値観に注意を向けながらインタビューを行うことで、性別移行後のGID当事者に共通する点だけでなく、相違点についても明らかにしたいと考えている。それらの相違が何によって生じるのかを考察することで、GID当事者の性別や世代に沿った看護支援についての示唆が得られるものと考える。
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