2011 Fiscal Year Annual Research Report
EBV関連胃癌におけるウイルス由来マイクロRNAの発現および機能の解明
Project/Area Number |
22890037
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
篠崎 綾 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (60581824)
|
Keywords | EBV / マイクロRNA / 胃癌 / アポトーシス |
Research Abstract |
EBV関連胃癌においてウイルス由来のマイクロRNAが癌の発生、進展にどのように関与しているかを解明するために、EBV関連胃癌における既知のEBV由来マイクロRNAの発現プロファイルを解析した。ホルマリン固定、パラフィン包埋されたEBV関連胃癌の手術検体からマイクロRNAを抽出し、定量的RT-PCR法を用いてEBV由来マイクロRNAの発現を定量した。他のEBV関連腫瘍である悪性リンパ腫や上咽頭癌におけるEBV由来マイクロRNAの発現に関する既報告と比較し、数種類のマイクロRNAがEBV関連胃癌で特異的に発現が上昇あるいは低下していることが明らかになった。また、EBV関連胃癌モデル細胞株におけるウイルス由来マイクロRNAの発現プロファイルも手術検体から得られた結果と同様の傾向を示した。発現が高かったマイクロRNAに関して、そのシード配列から予測される標的遺伝子をデータベース上で検索したところ、数種類のアポトーシス関連遺伝子が候補に挙がった。これらについてEBV関連胃癌モデル細胞株を用いて検討したところ、EBVに感染している胃癌細胞株では未感染の胃癌細胞株に比較して、特定のアポトーシス促進蛋白の発現が低下していることが明らかになった。さらにEBV関連胃癌で高発現しているウイルス由来マイクロRNAがこのアポトーシス促進蛋白の発現を抑制していることを実験的に証明した。以上の結果から、EBV由来のマイクロRNAが宿主の蛋白発現を抑制することにより、腫瘍細胞の不死化に関与していることが示唆された。
|