Research Abstract |
足関節不動化モデルラットを用い,関節不動による軟骨基質の変化と持続的他動運動(以下,CPM)の影響について検討した.ラットを対照群と実験群に分け,実験群は4週間ギプスにて両側足関節を不動化する不動群と,同様の方法で不動化する過程においてCPMを施すCPM群に振り分けた.CPMは角速度10゜/秒の足関節底背屈運動であり,麻酔下で両側後肢のギプスを解除した後に30分間(週6回)行った.実験終了後は両側足関節を採取し,パラフィン包埋切片を作製した.そして,プロテオグリカン(以下,PG)の動態についてはトルイジンブルー染色を,また,タイプIIコラーゲンの動態については免疫組織化学的染色を施し評価した.さらに,軟骨基質分解酵素であるMMP-3,9,13とそれらを抑制するTIMP-2の軟骨細胞における動態については免疫組織化学的染色を施し評価した.その結果,トルイジンブルー染色において不動群の軟骨基質の染色性は対照群のそれと比べ有意に低下していた.また,不動群のMMP-3,9,13陽性細胞率は対照群のそれと比べ有意に高値を示し,TMP-2陽性細胞率は対照群のそれと比べ有意に低値を示した.一方,CPM群ではこれらの変化は認められず対照群と大差なかった.また,タイプIIコラーゲンの染色性は3群間で差を認めなかった.これらのことから,関節不動は軟骨基質のPGの減少を惹起し,この変化にはMMP-3,9,13の発現増加とTIMP-2の発現低下が関与している可能性が示唆された.また,不動の過程でCPMを実施するとPGの減少を抑制できる可能性も示唆された
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