2023 Fiscal Year Annual Research Report
Comprehensive research on research and preservation methods for stone cultural heritage adapted to dramatic environmental changes caused by global warming
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22H00029
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Research Institution | Gangoji Institute for Research of Cultural Property |
Principal Investigator |
田邉 征夫 公益財団法人元興寺文化財研究所, 研究部, 所長 (50000493)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三村 衛 京都大学, 工学研究科, 教授 (00166109)
山口 繁生 公益財団法人元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (00752370)
植田 直見 公益財団法人元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (10193806)
金田 明大 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 埋蔵文化財センター, センター長 (20290934)
塚本 敏夫 公益財団法人元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (30241269)
坂本 俊 公益財団法人元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (40808903)
朽津 信明 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 保存科学研究センター, 室長 (50234456)
雨森 久晃 公益財団法人元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (70250347)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 近世城郭石垣 / 文化財防災 / 地中レーダ探査 / 石材強化剤 / 表面波探査 / 地盤ボーリング探査 / 挿入型RI密度・水分検定 / 後方散乱X線 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度の研究内容と成果 (1)3D構造図と構造診断図の作成 研究対象地区を石垣の状態が深刻な竹田城跡花屋敷曲輪に絞り込こみ以下の調査を行った。①環境データの収集:環境データ(特に雨量)を得る目的で気象ステーションを曲輪南西部に設置し、石垣には温湿度データロガーを8か所設置し計測中(継続計測)。②石垣及び曲輪平坦面の3Dレーザ計測:石垣及び曲輪平坦面の3Dレーザ計測を行い、得られた3Dデータで差分解析を行った。③物理探査による石垣地盤構造の解明:曲輪平坦部と石垣西側犬走り部で地中レーダ探査(以下GPR)と電磁気法探査(以下EM 法探査)を南北に測線50㎝間隔、1mピッチで行った。また、曲輪平坦部で表面波探査を東西2測線、南北3測線で行い、深い地盤構造の推定を行った。石垣の裏込め状況を知る目的で、西側石垣面の石垣高10mをGPRとEM 法探査で東西に測線1m間隔、1mピッチで行った。その結果、内面に以前の石垣か盛土のような違った地盤構造が存在する可能性が確認できた。各種探査結果の検討会議を2度行い、ボーリング箇所の選定を行った。④地盤ボーリング調査:地盤ボーリング調査を東西2か所で行った。また、ボーリング孔を利用して挿入型RI密度・水分検定を行った。その結果、文献では知られていなかった石垣が内側5mの個所に存在する可能性が大きくなった。 (2)新しい石材強化法の開発:①竹田城跡での石材で実験サンプル作成と石材の各種分析と予備実験を行った。 (3)修理履歴の調査・検討:豪雨で崩壊した丸亀城、地震で崩壊した仙台城での修復現場を視察して情報収集を行った。 研究成果を日本文化財科学会3件発表した。また、研究の取り組みをNHKの取材を受け、「地域の宝を守れ“文化財防災”最前線」NHKかんさい熱視線の中で放映された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初購入予定の後方散乱X線装置がメーカー側からの販売停止があり、他メーカーの機種では予算を大幅に上回るため、購入を断念しかけたが、デモ機器を中古品価格で購入でき、後方散乱X線装置を使った新しい石造物調査法の開発ができた。その差額で地盤ボーリング調査や各種物理探査を行うことが出来て、大きな進展を得ることが出来た。また、3Dレーザ計測の弱点およびモニタリング法に使用予定の赤外線サーモグラフィに代わるIR撮影のため当初予定していなかったドローンを購入して進める予定であり、おおむね研究は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
地中レーダ探査では内面に以前の石垣が存在する可能性が高まった。また、その石垣や盛土が地山を使った石材や客土の可能性が出てきたため、次年度はさらに石垣に対して追加のボーリング調査や特に降雨時の盛土部分の水分量の調査を行う予定である。また、石の成分分析を専門とする研究分担差を新たに加え使用されている石垣石材の成分分析や地域の石材との比較を新たに調査項目に追加する予定である。 3次元計測では経時計測を行い、差分解析を行い危険個所の同定を行う予定であるが、石垣上面(5m~10m)の3Dレーザ計測精度が悪い点やモニタリング法として使用予定の赤外線サーモグラフィでも同様の問題点があるため、ドローンによる写真測量とIR写真撮影を追加して調査精度を向上させる予定である。 また、石材強化法に関しては室内実験を継続予定である。
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Research Products
(3 results)