2022 Fiscal Year Annual Research Report
Origin of an extra-large metallic core of Mercury and M-type asteroids inferred from differentiation process between iron and rock at the region of terrestrial planets
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22H00179
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
荒川 政彦 神戸大学, 理学研究科, 教授 (10222738)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 直 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 主任研究開発員 (10399553)
保井 みなみ 神戸大学, 理学研究科, 講師 (30583843)
小林 浩 名古屋大学, 理学研究科, 准教授 (40422761)
白井 慶 神戸大学, 理学研究科, 技術員 (90870519)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 分化溶融微惑星 / 鉄隕石 / M型小惑星 / 天体衝突 / 水星核 / 衝突破壊強度 / カタストロフィック破壊 / フラッシュX線 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は実験装置の導入と研究手法の開発を行った。さらに分化溶融天体の衝突数値シミュレーションを開始した。 この実験では高温に加熱された標的に対して衝突破壊実験を実施する。そのための加熱装置と加熱時の温度を計測するための装置を導入した。標的は大型の真空チャンバー内に設置するため、加熱はハロゲンスポットヒーターで実施する。そのための装置を1台導入して、標的内部まで加熱可能かを調べた。その結果、1台では加熱量が不十分であるので今後増設することにした。また、加熱時と衝突破壊時の標的温度を計測するために、赤外高速カメラを導入した。このカメラを利用するために、真空チャンバーに赤外窓を設置する改良を行った。その後、カメラの試運転を実施し、真空チャンバー内の標的を600コマ毎秒以上で必要な温度範囲で観測できることを確認した。 分化溶融天体の衝突破壊をフラッシュX線で観測する手法を確立するため、塑性変形する粘土コアと砂・石膏の多孔質マントルを持つ球標的を用いて衝突破壊実験を行った。この実験は宇宙研の衝突装置とフラッシュX線を利用して実施した。その結果、コアとマントルを分離して観測できることを確認した。また、神戸大学において、このコア・マントル試料のクォータースペース実験を行い、デジタル画像相関法(DIC)による標的内部の速度分布の計測手法の改良を行った。 数値シミュレーションに関しては、金属コアを持つ天体の衝突シミュレーションを行った。衝突天体の質量比や衝突角度、そして衝突速度をパラメータとして広いパラメータ空間に対して、徹底的に調べた。衝突速度が大きい時にシミュレーションが難しかったのを改良して、衝突速度が大きい場合でも信頼ができる結果が得られるようになった。 さらに小惑星の天文観測データの解析により、メインベルトにおける小惑星衝突に関する研究を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究に必要な実験装置の立ち上げと手法の開発は、ほぼ順調に進んでいる。ただし、研究項目が多岐にわたるため、一部分は遅れが生じている。特に分化溶融微惑星を模擬したガラス・スズ合金標的の作成は今年度は着手できなかった。 また、当初の想定に反し、衝突進化シミュレーションの実施に時間を要することが判明した。研究遂行上、コア-マントル天体の衝突モデルの構築には 衝突進化シミュレーションが不可欠なため、衝突進化シミュレーションを延長して実施する必要が生じた。そのため予算の繰越しを行い、初年度の研究計画を半年延長した。
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Strategy for Future Research Activity |
ハロゲンスポットヒーターを利用した標的加熱システムの構築を早急に進める。次に、鉄・岩石ラブルパイル天体の衝突破壊・再集積過程に関する研究を進めるために、模擬標的を用いた室内実験を開始する。また、コア・マントル標的の衝突破壊時の破片速度分布を計測する手法として、フラッシュX線法及びDIC法についてさらに洗練していく。数値シミュレーションにおいては、コア・マントル天体の衝突破壊をSPH法で再現して、コア物質とマントル物質の混合と分離について、その素過程を調べる。
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