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2022 Fiscal Year Research-status Report

世界諸英語における等複雑性の公理の妥当性に関する認知社会言語学的研究

Research Project

Project/Area Number 22K00600
Research InstitutionKanazawa University

Principal Investigator

渋谷 良方  金沢大学, 歴史言語文化学系, 准教授 (70450690)

Project Period (FY) 2022-04-01 – 2025-03-31
Keywords認知社会言語学 / 等複雑性の公理 / コーパス / レジスター / 話者間変異性 / 世界諸英語研究
Outline of Annual Research Achievements

20世紀の言語学 (特に構造言語学) では、全ての言語が等しく複雑であるという主張がなされた。これが等複雑性の公理 (equi-complexity axiom) である。等複雑性の公理では、各言語の文法 (形態素や構文構造など) は、単純なサブシステムと複雑なサブシステムから構成されるが、全体としての複雑さは、全ての言語で同じだと考えられている (サブシステムとは音韻や屈折形態や構文などを指す) 。この公理の妥当性は、20世紀の間は厳密な検証がなされなかったが、21世紀に入り、様々なコーパスの普及や、高度な統計的分析手法の開発が進んだことにより、多くの研究者がこの公理の妥当性を検証するようになった。本研究課題の核心をなす学術的問いは、「等複雑性の公理は、世界諸英語 (World Englishes) においてどの程度当てはまるのか」である。この問いに答えるために、第一言語 (L1) と第二言語 (L2) を含む数々の英語変種群における等複雑性の公理の妥当性を明らかにすることを研究目的としている。研究実施計画では、2022年4月 ~ 2023年3月の期間は、Corpus of Global Web-Based English (GloWbE) を用いて、形態統語的特徴の分布をレジスター毎に比較することになっていた。この計画にしたがい、2022年度に実施したGloWbEデータに対する研究では、分析性 (analyticity) と総合性 (syntheticity) には正の相関があること、すなわち、分析的変種は総合性も高いこと、そしてその逆もまた然りであることが分かった。また、レジスター変異性については、GloWbEを構成するGeneralとBlogsのセクション間では、後者において、分析性と総合性のより強い正の相関が見られることが確認された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

2022年度に実施した研究では、Corpus of Global Web-Based English (GloWbE) から取得したデータの解析とその解釈に取り組んだ。GloWbEは世界20カ国で使用されている英語変種の言語使用データを集めた19億語からなる巨大コーパスであり、データ収集とその整理に予想以上の時間を要した。ただ、データベースが整備された後は、解析が順調に進むようになり、興味深い知見が次々と得られている。

Strategy for Future Research Activity

今後は、Corpus of Global Web-Based English (GloWbE) 以外のコーパスにも研究のスコープを広げ、等複雑性の公理の妥当性の実証的検証をさらに深めていきたい。使用予定のコーパスの一つが、International Corpus of English (ICE) である。ただし、ICEはタグ付けに関する不備を抱えているので、調査対象とする構文を限定することを検討中である。また、研究対象とする構文によってはICEでは十分なデータが取得できないことが予想されるため、必要であればGloWbEを使用することになるだろう。なお、余裕があれば、話し言葉データを解析することも考えており、その場合には、1150万語の話し言葉コンポーネントを持つBritish National Corpus (BNC) 2014を使用することを検討中である。GloWbEは書き言葉データをカバーするが、BNC2014を使用することにより、話し言葉における文法の複雑性を調査することができる。もちろん、BNCはイギリス英語のデータであり、世界諸英語研究の観点からは問題がないわけではない。しかし、英語の一変種の話し言葉を、文法の複雑性の観点から詳細に論じることは、世界諸英語の話し言葉を収集した大規模コーパスが整備されていない現在においては、自然言語の複雑性研究の今後の発展のためには必要な最初のステップだと考えられる。

Causes of Carryover

新型コロナウィルス感染拡大の影響に伴い、学会参加を取り止めたケースがあったため、次年度使用額が生じてしまったが、今後は、学会も対面開催へとシフトしていくので、より積極的に学会発表や論文投稿に取り組んでいく。

URL: 

Published: 2023-12-25  

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