2022 Fiscal Year Research-status Report
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22K01344
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
原田 久 立教大学, 法学部, 教授 (70275460)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若林 悠 大東文化大学, 法学部, 講師 (80843250)
山田 健 獨協大学, 法学部, 特任助手 (80906694)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 各省設置法 / CCS / ライン・オーガニゼーション / 電気通信省設置法 / 電気通信機構共同委員会 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、国立国会図書館や国立公文書館が所蔵するGHQ民間通信局(CCS)の史料や関連する日本政府側の「大野木文庫」等の史料を収集し、各省設置法のモデルとなった逓信省設置法案や電気通信省設置法がいかなる組織論的基礎のもとに制定されたかを解明した。 戦後日本のあるべき電気通信機構を構想した「電気通信機構共同委員会(Joint Committee on Organization of Japanese Telecommunication System)」は、統一された電気通信サービスを提供するために必要なピラミッド型の機能別組織を設置することを提言した。そこでは、ライン組織の階層を追加することによって大臣官房による他局への水平的統制を排除することが意図されていた。その際に援用された組織編成原理が、「事業内部の各部門別にその権限と責任と機能とを明確に規定し、精密な事務処理方法を定めて、本省から現場までの各段階を系統別に運用し、各部門別に事業運営の筋をとおす」という「ライン・オーガニゼーション」である。「ライン・オーガニゼーション」に基づく組織編成はアメリカの電気通信会社ATTを範とするものである。当該組織編成原理が電気通信省に適用された結果、電気通信省設置法には数多くの部局と詳細な所掌事務に関する規定が置かれることになった。 各省設置法制定史に関する我が国の通説的見解は、国家行政組織法の施行にあわせていっせいに制定された各省庁設置法が戦前来の各省官制を原型として基本的にそのスタイルを継承しており、官制の法律化にすぎないとするが、今年度の研究はかかる通説に修正を迫るものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度では、研究代表者(原田 久)は、国立国会図書館や国立公文書館が所蔵するGHQの民間通信局(CCS)の史料や関連する日本政府側の史料を収集し分析を行った。また、その過程で研究分担者(若林 悠、山田 健)との中間研究会を開催した(10月21日(金))。若林氏からは通産省設置法制定史について研究報告がなされ、また、山田氏からは、総務省行政管理局に現用文書として保管されている「大野木文庫」の全文書の画像化について調査報告がなされた。その結果、今年度の主たる研究成果を「省設置法の組織論的基礎」(立教法学107号)と題する論文にまとめ、公表することができた。 他方で、研究代表者は、ドイツの国立公文書館等において戦後直後の連邦各省設置に関する史料収集を行うことを予定していたが、新型コロナウィルスの感染状況やウクライナ情勢によってドイツにおける史料収集を見送らざるを得なかった。また、「大野木文庫」として保管されている文書が当初の想定より膨大であることが分かり、資料画像に番号を振る作業は概ね完了したが、その内容を精査し、文書に見出しをつけることで各省設置法研究に活用するには至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、研究代表者(原田久)は、電気通信省と同じ事業系官庁である建設院設置法制定の政治過程を明らかにする。建設省(院)は、GHQ/SCAPの命令・指示により機構改革がなされた府省等のリストに唯一挙げられていない省であった。電気通信省などほぼ全ての府省等がGHQ/SCAPから機構改革を迫られる中で、なぜ建設省についてだけ改革がなされなかったのかを明らかにする。 具体的には、内務省解体に関する「正史」というべき自治大学校編『戦後自治史Ⅷ(内務省の解体)』に依拠して、GHQ/SCAPの民政局による覚書「内務省の分権化に関する件」(1947年4月30日)以降、内務省国土局の所掌事務を引き継ぐための建設行政機構の改革がどのように行われたのかを明らかにする。続いて、国立国会図書館憲政資料室所蔵の佐藤達夫文書の資料を用いつつ、行政調査部では複数の省に跨がる建設行政についてどのような調査・研究がなされ、いかなる機構改革案がとりまとめられたのかを辿る。その上で、国立国会図書館憲政資料室所蔵のGHQ/SCAP 文書や外務省外交史料館所蔵の資料に基づき、建設行政機構のあり方を巡るGHQ/SCAP内部の調整過程やその後の建設院設置法案をめぐるGHQ/SCAPと日本政府との交渉過程を跡づけ、GHQ/SCAPが建設行政機構の改革を見送るに至った原因を探る。 研究分担者(若林悠)は、通産省設置法の制定過程を解明することで、研究代表者(原田久)による建設院設置法制定史との比較を試みる。また、研究分担者(山田健)は、「大野木文庫」として保管されている文書の内容を整理し、各設置法研究に有用な資料を発掘する。
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Causes of Carryover |
研究代表者(原田久)については、ドイツ連邦公文書館等での資料収集が新型コロナの流行により見送らざるを得なかった。そのため、2023年度では、ヨーロッパ諸国における新型コロナの流行状況を見定めながら、ドイツ連邦公文書館等での資料収集を試みたい。 研究分担者(山田健)については、「大野木文庫」の資料が膨大であったため、資料の内容に沿って見出しをつける作業が進まなかった。2023年度については、アルバイトを雇用しながら、「大野木文庫」の資料を内容に即して整理し、各省設置法研究に活用したい。
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Research Products
(9 results)