2022 Fiscal Year Research-status Report
Comparative Analysis of Political Institutions between Japanese and American Local Government
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22K01351
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
辻 陽 近畿大学, 法学部, 教授 (70362564)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 地方議会 / 議会支配人制 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本と米国における地方政府の選挙制度と執政制度が当該地方政府の政策決定にどのように影響を及ぼしているかを明らかにするものである。研究代表者は、2022年度には、アメリカ国内の一部自治体で採用されている議会支配人制度についての先行研究について文献調査を進めた。また、同制度を採用しているカリフォルニア州オールバニー市(人口約2万人)における議会運営や議事についての資料収集を行うとともに、2名の(元)市議会議員にインタヴューを実施し、議会支配人制度における議会・議員の役割についての示唆を得た。同年度の業績としては、『自治日報』2022年5月2日・9日(合併号)及び『自治日報』2022年11月11日付に掲載された小論、そして『地方議会人』2022年11月号の巻頭言が挙げられる。これらにおいて論じたのは次のとおりである。第一に、カリフォルニア州オールバニー市の議会に関する規則(City Council Procedures & Policies)に規定されている内容は、日本の一部の自治体で制定されている議会基本条例とそれほど違いがないことである。とはいえ、第二に、同規則では、秘密会開催の要件が明確に定められており、職員人事に関する議事を扱う場合や同市が抱えている訴訟案件について議論する場合がそれに該当することである。そして第三に、議員選挙において推薦者を得る必要性や月額300ドルの報酬しかないにもかかわらず議員としての職務にやりがいをもつ実態を、議員インタヴューの内容から明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度においては資料収集やインタヴューなど、論文執筆に向けての準備を進めたものの、新型コロナウイルス感染症の影響で年度上半期においてオールバニー市議会がオンラインで開かれて議場での議会傍聴ができなかったこともあって、研究の進捗がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度下半期になってからオールバニー市議会も本格的に対面形式により議会が開かれるようになり、2023年3月には議場で議会を傍聴することができた。また、同市議会議員にも知己を得たため、今後の研究の進展が期待できる。また、2014年末から2022年末までの同市議会の議題も収集できたため、これをもとに、2023年度にはコロナ前後の市議会の議事運営の類似性と差異について論文を執筆する予定である。
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Causes of Carryover |
2022年度前期において在外研究を実施していたために、外国語文献の購入など科学研究費を用いた支出を実施しなかったことや、パソコンの購入を2023年度に回したことなどから、次年度使用額が生じた。
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