2023 Fiscal Year Research-status Report
Comparative Analysis of Political Institutions between Japanese and American Local Government
Project/Area Number |
22K01351
|
Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
辻 陽 近畿大学, 法学部, 教授 (70362564)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 地方議会 / 議会支配人制 / 新型コロナウイルス感染症 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、単著論文「アメリカ小規模自治体における議会過程―COVID-19の影響とそこからの復帰」(岩崎正洋編著『コロナ化した世界―COVID-19は政治を変えたのか』勁草書房、2023年所収)を発表した。本論文では、アメリカ・カリフォルニア州にある人口約2万人のオールバニー市議会において、新型コロナウイルス感染症が広がる前と後とで、取り扱う議題に変化が生じたかどうかを明らかにした。 同市は議会支配人制をとるとはいえ、政策の方針を決める権限は市議会にある。他方で、議員報酬が月額30ドルにとどまり、定例会は毎週第一、第三月曜日の夜7時から10時半(延長しないかぎり)であるため、取り扱える議題にも限りがある。そこで、同市議会の毎回の定例会の流れのなかで、提示(Presentation)、(特定課題についての)公聴(Public Hearings)、継続議題(Unfinished Business)、新規議題(New Business)として議論された議題を、「法規改正」、「契約」、「財政」、「政府・組織」、「意見」、「都市計画」、「福祉」、「将来構想」の8つに分類して、その変化を見た。 分析の結果、感染症拡大により「都市計画」に関する議題が大きく減少したあと、コロナ後の世界に復帰するに従い、議事運営も含めてコロナ前の状況に概ね復帰したことを確認した。また、COVID-19に関する議案が多い「福祉」に関する議題について、反対意見が出ることは比較的少なく、テナントや家の借り主の返済猶予を店舗もしくは家のオーナーに認めさせる議案(とその期限を延長する議案)については、いつも全会一致で可決されていたことを明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
年度内の議会支配人制についての論文執筆を予定していたが、他の原稿の執筆もあり遅延している。また、共著者の執筆遅れにより、公表が遅れている原稿も存在する。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる今年度には、上述の議会支配人制に関するレヴュー論文の執筆・公表を予定している。また、これとは別に、アメリカの小規模自治体議会の運営に関する論文も執筆・公表したいと考えている。なお、この準備のため、2023年3月に渡米してオールバニーの現職・元職の市議会議員にインタヴューを行ったほか、2024年8月に再度渡米して、カリフォルニア州の郡委員会委員へのインタヴューも実施予定である。
|
Causes of Carryover |
円安が続いていることもあり、洋書の購入を最低限に留めていたが、2024年度にはこれを進める予定である。
|