2022 Fiscal Year Research-status Report
The effects of the perception of China threat on economic policies in developed countries: the case of the US Congress
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22K01384
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Research Institution | Ferris University |
Principal Investigator |
杉之原 真子 フェリス女学院大学, 国際交流学部, 教授 (80376631)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 経済安全保障 / 財政政策 / 産業政策 / 米国 / 日本 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、対中脅威論が先進民主主義国の財政政策に与える影響を米国議会の分析を中心として検討する。研究初年度の2022年度は、米国バイデン政権下の財政政策に対中脅威論が与えた影響を概観するとともに、比較対象として、日本の経済安全保障政策についても検討した。 米国の財政政策においては、二大政党の分極化および勢力拮抗の結果、予算成立が困難になる危機的状況が繰り返されている。福祉の拡大を企業や富裕層への増税で賄おうとする民主党と、減税と歳出減を掲げる共和党の対立は厳しく、妥協は非常に困難である。 こうした中、2つの政党が共有する数少ない政策目的の一つが、中国の脅威への対抗であると言われる。実際に2021年11月には米国の経済基盤を強化することを目指すインフラ投資法が、2022年8月には米国内の半導体産業の振興を目的とする半導体・科学法が、それぞれ超党派の支持を得て成立した。しかし、これらの法案の作成過程を検証すると、中国の脅威認識は両党の財政政策の違いを埋めることはできておらず、さらに両党内での対立も影響して、いずれの法案も本来の計画に比べ大幅に規模を縮小して成立したことがわかった。 日本では、中国への懸念に基づく経済安全保障の強化は、主として経済産業省を中心とする行政主導で進められてきた。2019年以降は経済安全保障にかかわる政策に政治家の関心が強まっている。大規模な財政支出を伴う政策は、半導体産業への支援を中心に、2020年以降順次導入されてきた。これらの政策の導入も基本的に行政主導であるが、政治家のバックアップを得て進められてきた。しかし、中国との経済関係の維持が米国にとって以上に日本経済と企業にとって重要であるのに加え、厳しい財政状況が補助金を用いた政策動員の制約となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度の夏に予定していた米国での現地調査は、日本政府による新型コロナ対応の水際対策による制限のため実施できなかった。 一方で、米国および日本における財政政策の状況と、それに中国脅威論が与えた影響についての文献調査を進めるとともに、米国の議員に関するデータベースの構築を行い、初年度の研究としては一定の成果を上げることができた。また、それらの成果を学会および複数の研究会で報告した。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は米国での現地調査を実施し、近年の米国の財政政策の展開と、それに中国脅威論が与えた影響について、インタビューや現地での資料の閲覧を通じて研究を深める。並行して、議会に関するデータの収集と分析を進める。半導体産業を中心とした産業政策を主な対象とするが、雇用政策や福祉を含めた財政政策全般において、中国との競争が政策の必要性の説明に用いられていることにも着目し、財政政策をめぐる政治的動向の全体像の把握を目指す。 日本に関しても、半導体産業支援を中心とする財政支出の動向について、それらの政策が決定される過程でどのようなアクターがどのような目的を持って関わっているかを分析し、財政政治の変化に中国との競争が影響を与えているかを、文献調査やインタビューを通して引き続き検討して、比較を通じた米国の事例の理解を深める。 それらの成果を論文にまとめて国内外の学会や研究会で発表し、専門家からのフィードバックを得て刊行につなげる。2023年6月には、米国の財政政策について日本比較政治学会での発表を予定している。
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Causes of Carryover |
2022年夏に米国での現地調査を予定していたが、日本政府による新型コロナ対応の水際対策のため海外出張が著しく困難な状況となり、実施できなかった。 未使用分については、2023年度に繰り越し、2023年度秋の米国での調査の実施に使用する計画である。近年著しく海外渡航費が上昇し、円安も進んでいるため、前年度分の繰越しによってより充実した調査が可能になる。
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Research Products
(2 results)