2023 Fiscal Year Research-status Report
役員の多様性が環境パフォーマンスに与える影響についての実証研究
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22K01701
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
野方 大輔 佐賀大学, 経済学部, 准教授 (20614621)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 役員構成 / 多様性 / 不祥事 |
Outline of Annual Research Achievements |
取締役の多様性確保の不祥事発生に与える効果について検証した。 国内では多様性の要素として社外取締役の登用効果に注目した研究が存在するが、最近は、ジェンダー、国籍といった観点からも役員バックグラウンドの多様化が求められている。こうした社会的要請がどのような意味をもつのか、妥当なものなのかを検証するため、女性および外国人役員の登用効果を測った。 その結果、女性役員比率の高い企業ほど、不祥事の発生確率が低くなる傾向が示された。これは、女性のもつ倫理観、利害関係者への配慮、リスク回避的態度からもたらされている可能性があり、gender socialization theoryのアイデアや海外のサンプルを用いた実証結果と整合する。ジェンダーの多様化は、一定の条件のもとでの財務パフォーマンスへの好影響のみならず、不祥事の抑制という観点からも必要なものかもしれない。 今後はこの結果の頑健性を確かめる作業が必要で、分析手法も多様化させる必要があるだろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究成果は報告書の形でとりまとめた。しかしながら、現在ジャーナルに投稿、査読中である。今後、査読者のコメントで取り入れ可能なものを論文に反映させる作業が必要となる。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の研究結果は、不祥事タイプや規模を考慮した分析となっていないため、本論文で収集した不祥事のタイプをいくつかのカテゴリに分け、識別した追加分析をおこなうことが考えられる。サンプル数も多くはないため、今後、国際データを用いて、観察期間を増やすことでサンプルを確保するなどの対応も求められる。また追加的な分析手法を取り入れ結果の頑健性を確かめる作業も求められる。
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Causes of Carryover |
オンライン・遠隔会議の活用により、研究旅費の節約をおこなった。また、論文執筆に主に時間をあて、学内の英文校閲支援制度をフル活用したため、費用を節減することができた。節約した経費は、来年度データの構築、研究成果の報告等に充てる。
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