2022 Fiscal Year Research-status Report
地方政府の会計・監査・内部統制の新たな枠組の導出-デジタル環境下のパラダイム転換
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22K01817
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
石川 恵子 日本大学, 経済学部, 教授 (70343647)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾上 選哉 日本大学, 経済学部, 教授 (00341199)
黒木 淳 横浜市立大学, 国際商学部, 准教授 (00736689)
山本 清 鎌倉女子大学, 学術研究所, 教授 (60240090)
佐藤 亨 明治大学, 研究・知財戦略機構(駿河台), 研究推進員(客員研究員) (80774934)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | DX / 公会計 / 公監査 / 地方自治体の内部統制 / 地方自治体のDX推進 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、(1)地方自治体のDXの推進の状況について、ヒアリング調査をZOOMを活用して行なった。その結果、DX推進の進捗状況は組織の規模の大小はあまり影響しない可能性が高いことを確認した。また、DX推進は、外部向け(地域住民へのサービスの提供)に主眼が置かれ、内部向け(内部統制の強化)にはあまり影響がない可能性を確認した。 さらに、(1)のヒアリング調査の結果に基づいて、(2)地方自治体(都道府県・政令市・一般市)にアンケート調査を実施した。現在、調査結果に基づいて、内部統制とDXの推進に関連する分析を行なっている。調査結果から明らかなことは、DXの推進を必ずしも外部向けのみならず、内部向け(内部統制の強化)にも取り組んでいる地方自治体があったことである。現在、内部向けで強化している地方自治体の特性について、分析を進めている。 また、本研究では、(3)内部統制の不備の開示状況に着目して、過去5年間の懲戒処分の対応状況、報道機関への公表状況について整理した。これにより、過去5年間の懲戒処分の集計結果からは内部統制の不備を事由とした懲戒処分は少ないこと、また、金額が大きい不備内容であっても、必ずしも報道には公表れない傾向が見られたことを把握した。 そして、(4)海外の公的部門におけるDXの推進状況について、韓国の資料を調査し、状況を把握した。韓国では、押印の廃止を20年前には行なっており、デジタル化を進めている。韓国のDXの推進の主たる目的も外部向けであり、内部向けの取り組みについては把握することができなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度である2022年度は、「当初の計画以上に進展している」と判断した。 その理由は、(1)ヒアリング調査を協力団体に対して行なうことができたこと、(2)地方自治体(都道府県・政令市・一般市)に対して、遅滞なくアンケート調査を実施した上で、データ分析を行ったこと、(3)内部統制の不備の開示と懲戒処分についての関係性を整理したこと、(4)海外(韓国)のDXの推進について把握したことである。 なお、当初の計画では、(3)内部統制の不備の開示と懲戒処分の関係性の整理は、含めていなかったが、(1)アンケート調査の分析(内部統制の不備の開示との関係性)を把握する上で、必要と判断し、整理をすることとした。その結果、直接的には内部統制の開示との関係性は見られなかったが、次年度以降に当該情報を使用して、公会計情報の活用度との検証を行う予定である。 したがって、研究計画通りに、進捗していること、そして、新たな研究上の課題を発見し、これを検証することを事由として、「当初の計画以上に進展している」という判断をした。
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Strategy for Future Research Activity |
研究2年目である2023年度については、(1)2022年度との経年度比較のために、協力団体とヒアリングを実施する。特に、2023年度は、協力団体の1つである中核市団体と協力して、DX推進に向けた内部統制の強化について、所管課の管理職・職員から個別ヒアリングする機会を得ており、分析に役立てる予定である。また、(2)ヒアリング調査結果と2022年度との計年度比較のためにアンケート調査を実施する予定である。 そして、成果報告については、2022年度のアンケート調査の結果に基づいて、日本会計研究学会の全国大会(9月)および国際学会であるCIGAR(6月)において成果報告を行い、情報発信もしていく予定である。
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Causes of Carryover |
2022年度は、アンケート調査を実施したが、当該予算については、日本大学の産業経研究所のプロジェクト予算を使用したため、科研費での調査費が発生しなかったことによる。 2023年度には、同様のアンケート調査を実施し、CIGARでの報告を予定しているので、2022年度からの繰越額は調査費と成果報告に使用する予定である。
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Research Products
(7 results)