2022 Fiscal Year Research-status Report
東西ドイツにおける探究的な学びを支える教科書開発―両国の交流に着目して―
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22K02210
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
中園 有希 琉球大学, 教職センター, 准教授 (30758347)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 教科書 / 探究学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、①1960~80年代の東西両ドイツにおいて「ワークブックとしての教科書」として開発された教科書と教師用指導書の収集、②「アナログ・デジタル教育メディアのためのアウグスブルグ分析・評価枠組(AAER)」を用いたそれらの内容分析と評価を実施した。 ①については、ILLやオンライン古書店の利用、2022年8月に実施したベルリン市内の図書館における資料収集において収集を目指す6シリーズのうち4シリーズの教科書と教師用指導書を収集することができた。②については、2022年4月に国際教科書学会(IARTEM)第16回大会(オンライン)、2022年8月に日本教育学会第81回大会において口頭発表を行った。また研究を進める中で生じた分析枠組の活用に関する課題については、同枠組の開発者が主催する2022年10月の教科書・教育メディア研究国際学会2022年大会に参加し、情報交換を行うことで方向性を確認することができた。 これらの作業を通して明らかになったのは、東西ドイツ双方の「ワークブックとしての教科書」において追究されていた探究学習が、いずれの教科においても政治教育としての性格を有しているということである。その一方で、中等教育において真正性ある探究を誰に対して保障するのかということについては、東西ドイツで差異が見られた。これらの点については、同時期に開発された同じ教科の他の教科書とも比較することで、更に特徴を明らかにする必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
収集を目的としている6シリーズの教科書のうち、2シリーズについては収集がまだ終了していないが、その他は概ね順調に資料収集を実施することができた。また、国内学会、国際学会双方において口頭発表を行うなど、資料分析は計画通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、次年度は東西ドイツの教科書開発に関する史料の収集と分析を実施する。また、今年度入手が難しかった教科書、教師用指導書は、収集先、方法を再検討し収集を継続する。
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Causes of Carryover |
収集を予定していた2シリーズの教科書及び教師用指導書の入手が困難であったため、次年度使用額が生じたが、収集先、方法を再検討したうえで、それらを使用し収集を継続する予定である。
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