2023 Fiscal Year Research-status Report
「チームとしての学校」の理念に基づいた教員と特別支援教育支援員の協働モデルの開発
Project/Area Number |
22K02266
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Research Institution | Tokoha University |
Principal Investigator |
木村 光男 常葉大学, 教育学部, 准教授 (50779527)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
紅林 伸幸 常葉大学, 教育学部, 教授 (40262068)
大井 雄平 中京大学, 教養教育研究院, 准教授 (40802997)
黒岩 一雄 常葉大学, 教育学部, 准教授 (70779545)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 教職員の連携・協働 / 子ども理解 / 特別支援教育支援員 / 特別な教育的ニーズ / 支援の実際 / エピソード記述法 / チームとしての学校 / 学校組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究目的は、「チームとしての学校」において、a)教員と特別支援教育支援員(以下、支援員)の役割と協働の在り方の解明、b)校長や特別支援教育コーディネーターを中心とした学校組織が支援員との協働の取組(以下、協働の取組)をサポートする要件の解明、c)通常学級で、児童生徒の教育的ニーズに応じた適切な指導や必要な支援を実現するプロセスモデルの収集・分析、d)協働の取組を実現する小規模自治体の役割と機能の解明、を行う。その上で、児童生徒の教育的ニーズに適切な指導と必要な支援を講じられる「協働モデル」を開発することである。 令和5年度は、上記目的のa)b)c)を射程に「チームとしての学校」の理念と一致する小学校の実践を対象に2本柱で研究を進めた。 1点目は、「特別な教育的ニーズ」のある子どもに応じた支援の実際について、学級担任と支援員とのアプローチから検討した。そこでは、エピソード記述法を用いて分析した。その結果、両者が実施する支援の実際は、子ども理解を基盤にしたアプローチであった。そして、両者が間接的に実行した支援は、対象児童の「特別な教育的ニーズ」を低下させる環境要因となっていた。 2点目は、教員と支援員との連携・協働による支援の実際(以下、連携・協働の在り方)とその特質について検討した。そこでは、エピソード記述法とインタビュー(支援員、校長、特別支援教育コーディネーター、児童指導主事ら)を併用して分析した。その結果は次の通りである。まず、連携・協働の在り方は、対象児が生活する学校環境全体を射程に、多様な相互作用が図られていた。その基盤は「子ども理解」であった。次に、その特質は、子どもを中心としたボトムアップ型の学校組織による多様なサポートである。それは、教職員の連携・協働が有機的になり、児童の教育的ニーズに応じた適切かつ必要な支援を実現しやすい環境であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の研究計画書に記載している令和5年度の研究計画は、以下の3点である。1)教員と支援員の役割、協働・分担の在り方、課題・工夫点などの調査。2)学校が支援員を「チームとしての学校」の専門スタッフとして活かすための工夫点、具体的なサポート、課題、などの検証。3)教育委員会指導主事に半構造化面接を実施しての調査。1)については、協働の取組で成果が認められる事例における教員と支援員に半構造化面接調査の結果を分析及び検討した。2)については、「チームとしての学校」の理念を実現し、成果を挙げている学校の校長および特別支援教育コーディネーターに半構造化面接法に基づく面接調査を実施し分析及び検討を実施した。3)については、人口3万人以下の小規模自治体の指導主事に対する面接調査を実施し、字起こしをしたデータの基礎的な分析も終了した。以上のことから、本研究の現在までの進捗状況は、「おおむね順調に進展している」と判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の研究計画書に記載している令和6年度の研究計画は、令和5年度下半期からの研究を継続するとともに、新たに次の研究に取り組むこととしている。 4)リーフレットの作成・配布 上記 1)2)3)においては、実態解明による実証研究となった。それらの知見から、児童生徒の教育的ニーズに適切な指導と必要な支援を講じられる「協働モデル」を開発するには、個別・具体の事例による質的な分析検討が有効であると判明した。そこで、研究計画を一部変更する。その要点は次の通りである。協働の取り組みで成果を挙げている事例の要点をリーフレットの形式にまとめて印刷・製本する。また、リーフレットは、研究協力を得た学校を中心に配布して、研究成果を還元する計画である。
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Causes of Carryover |
対面による半構造化面接調査を実施する他、「人件費・謝金」等の残余については、リーフレットを作成するために必要な参考図書を購入する経費として「物品費」に合算計上し使用する計画である。
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