2022 Fiscal Year Research-status Report
Development and validation of a reflection method that enables teachers to reweave their physical knowledge
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22K02321
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Research Institution | Kyoto Women's University |
Principal Investigator |
村井 尚子 京都女子大学, 発達教育学部, 教授 (90411454)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 久佳 京都女子大学, 発達教育学部, 教授 (00413287)
宮崎 元裕 京都女子大学, 発達教育学部, 准教授 (20422917)
坂田 哲人 大妻女子大学, 家政学部, 講師 (70571884)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | リフレクション / アンラーン(学び直し) / 教育的タクト / オルタナティブ教育 / 演劇的手法 / 教師の専門性 / 身体知 / 教員養成 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、従来の日本の学校教育を自明とせず、様々な新しい試みを行なっている国内外の学校を訪問し、参与観察、インタビューを実施した。具体的には、和歌山県のきのくにこどもの村学園、長野県の軽井沢風越学園、オランダで探究を中心とした授業を実践している中等教育学校ALASCA、イエナプラン学校、ダルトンプラン小学校、IPABO高等職業教育機関、MBO職業教育訓練学校である。小学校では、子どもの主体的な学びを中心に据えた教育が行なわれており、また、IPABO、MBOでは新しい教育を担う教師を養成するための試みが行なわれている。また、2022年12月より、京都市にある立命館小学校の授業を観察し、リフレクションを行なう取り組みを始めた。この教室では、演劇的手法を主に導入し、教科書の学びを身体知としての学びに繋げる試みが行なわれている。これらの参与観察は、次年度以降の教師の身体性についての研究に繋げていく予定である。 理論的研究として、環境を通して行なう教育を行なっている幼稚園教師の専門性のあり方について、歴史的な経緯も含めて検討を行なった。これは、教科書教材を用いて授業を行う小学校以降の教師と異なる教師のあり方を相対化してみるための一つの予備作業と言える。さらに本研究では、リフレクションを行なうことで、教師の裡に身についた教育観を見直し、その身体知のありようを変化させていくことを目的としている。このための予備的作業として、教師の身体知の行為への発現としての教育的タクトについての原理的検討も行なっている。その成果の一部として、エンパシーとタクトとの関係について、また、これを前提とした教育的タクトの涵養の可能性について発表を行なった。教員養成における実践知の生成について扱うために、まずは教育実習のあり方についても学生への質問し調査をもとにして検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は新型コロナウイルス禍の渦中ではあったが、さまざまな取り組みを行なっている国内の小学校や海外(オランダ)の教員養成施設、小学校を訪問し、新しい教育のあり方と教師の専門性のあり方について多くの知見を得ることができた。また、理論的な研究も一定程度行なうことができた。ただし、新しい教育のあり方と教師の学び直しの必要性についてはまだ十分に着手できていない状況にある。よって、おおむね順調に推移しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
従来の教師教育、教員養成のあり方を見直し、これまでの自明性にとらわれない教育を行なえる教師を育てていくことを考えていく。そのためにも、現状の教育実習において学生が何を学ぶことができているのか、どのような学びについては十分とは言えないのかを実証的に検証していき、さらに必要な学びのあり方について提起していくことを考えている。 また、2022年度から参与観察およびリフレクションの導入を始めた京都市の私立小学校との共同研究をさらに推進し、教室の中での教師の身体性と発話のありよう、子どもの身体性と発話のありようとの関連性を、ビデオ録画と分析、現象学的な記述によって分析していく。従来、発話行為についてや子どもの動きについての定量的な分析は行なわれてきたが、現象学的な定性的な分析は、海外ではマックス・ヴァン=マーネン、国内では中田基昭ら比較的限られた研究者たちによって担われてきた。この分野への貢献をめざしたいと考えている。 また、国内外のオルタナティブ教育を実施している小学校、幼稚園などの訪問も引き続き行ない、その教育の意義を明らかにしていくことをめざしている。 さらに、リフレクションすなわち省察行為の原理的検証も続けていく。具体的には、マックス・ヴァン=マーネンの初期(1970年代)の文献を研究することで、省察の水準について精査を行なっていく。
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Causes of Carryover |
オランダの小学校、教員養成施設の視察が2023年3月となり、所属期間の2022年度決算に間に合わなかったため、2023年度の予算として計上することになった。
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Research Products
(4 results)