2022 Fiscal Year Research-status Report
A Longitudinal Study on Practical Knowledges of Childcare Practitioners to Create Inclusive Childcare
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22K02456
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Research Institution | National Institute of Special Needs Education |
Principal Investigator |
吉川 和幸 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所, 研修事業部, 総括研究員 (30528188)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
及川 智博 名寄市立大学, 保健福祉学部, 講師 (50879450)
川田 学 北海道大学, 教育学研究院, 准教授 (80403765)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | インクルーシブな保育 / 実践知 / 障害のある幼児 / 縦断的事例研究 / 特別支援教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、幼保連携型認定こども園に在籍する障害のある幼児の、入園から卒園までの3年間の経過を辿ることにより、障害のある幼児の自己発揮と定型発達の子どもとの協働的な学びを支えるための保育者の子ども理解、子どもとの関わり、環境構成について明らかにする。そして、多様な子どもが在ることを前提とした、インクルーシブな保育を実現するための保育者の実践知について検討するにすることを目的としている。 2022年度は、主に事例研究並びに文献研究を行った。事例研究では、研究協力先である、幼保連携型認定こども園の3歳児学級に入園した障害のある幼児を対象児として選定した。また、対象児が在籍する学級の担任保育教諭を研究協力者とし、担任保育教諭に対する定期的なインタビュー、担任保育教諭が作成した保育記録の分析、参与観察で得られたデータを基に、TEA(複線径路等至性アプローチ)による分析を行った。作成したTEM(複線径路等至点モデリング)図からは、インクルーシブな保育が創出する過程において、保育者が、第一に子どもの良さを理解し、集団に無理に合わせることなく、子どもの興味関心を基に援助を構想する姿勢をもつこと、そして、学級担任を支える副担任や特別支援教育コーディネーターの存在とサポートが、無理なく子どもが自己を発揮できるクラスの有りように繋がることが示唆された。事例研究で得られた結果は、2023年度の日本保育学会第76回大会で研究発表を行う予定である。文献研究では、主に国内の先行研究の文献収集を行い、論文主題のテキスト分析、論文発行数の年次推移等の分析を通して、インクルーシブな保育に関する研究の動向について定量的に把握した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
事例研究については、3歳児学級の新入園児を対象児として選定し、3年間の縦断的研究を順調にスタートできた。事例研究に伴うデータ収集について、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、当初予定していた訪問調査の中止が生じたが、ビデオ会議システムによる遠隔でのインタビュー調査で代替し、データ収集を行うことができた。事例研究を開始して1年目ではあるが、研究実績の概要に挙げた知見を見出すことができた。文献研究については、国内の先行研究の文献収集により、インクルーシブな保育の国内研究動向を定量的に概観することができた。以上のことより「おおむね順調に進展している」と判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は以下の方針で研究を進めていく。事例研究については、進級した対象児の4歳児学級での状況について、引き続きデータ収集を行うともに、新たに3歳児学級に入園した幼児を対象児、担任保育教諭を研究協力者として追加し、複数の事例研究を行う。3歳児学級及び4歳児学級での事例研究を並行して行うことにより、インクルーシブな保育の創出過程における、保育教諭の子ども理解、子どもとの関わり、環境構成等について、前年度得られた知見との共通点並びに相違点について検討する。文献研究については、前年度実施した収集文献に関する定量的分析を研究成果としてまとめる。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、当初予定していた訪問調査や、対面で予定していた研究ミーティングの一部をビデオ会議システムによる実施に切り替えた。そのため、旅費及びテープ起こし業者委託に関する費用等に余裕ができたため、次年度使用額が生じた。2023年度は、状況に応じて実施される追加調査や、資料の分析及び考察に関わる支出に充てることで充実した成果を得られるように努めたい。
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