2023 Fiscal Year Research-status Report
LGBTと家族形成に関する教科横断型教育プログラム開発研究
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22K02500
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Research Institution | Asia University |
Principal Investigator |
三浦 朋子 亜細亜大学, 法学部, 准教授 (70586479)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中塚 幹也 岡山大学, 保健学域, 教授 (40273990)
橋場 典子 関西学院大学, 法学部, 准教授 (90733098)
橋本 康弘 福井大学, 学術研究院教育・人文社会系部門(教員養成), 教授 (70346295)
堀江 さおり 秋田大学, 教育文化学部, 准教授 (40717906)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | LGBT / 家族形成 / 教科横断型 / 教育プログラム開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、LGBTの人々が家族を形成する際に生じる課題を、社会的包摂の観点から考え、教科横断型の学校教育プログラムの開発を目的としている。目的達成のために、①LGBTに関する国内外の教材収集、教育現場の課題を明らかにし(教育的アプローチ)、②LGBT当事者や各分野(医学、法学、倫理学等)の専門家らから家族形成に関する問題の実態や考え方についての聞き取り調査を行い、実践的課題を整理する(社会的アプローチ)。①と②を踏まえて、③社会科や家庭科をはじめとする教科横断的な教育プログラムのモデル教材の開発を進めている。 令和5年度の研究実績は、以下の通りである。教育的アプローチでは、これまでLGBT・性の多様性・ジェンダーに関わる教材、授業例等の資料収集を行ってきた内容を整理し、分析の結果を令和6年3月に行われた性同一性障害(GID)学会で公表した。発表ではとくに、社会科と家庭科の教科横断的な教育の可能性について検討した。また、学会の前後で高校及び大学教員、弁護士らとの意見交流を行い、LGBTや家族形成に関する学習の実態について、より詳細な現状と課題を知ることができた。つぎに社会的アプローチでは、まず医学分野で、性同一性障害やLGBTの生殖補助医療に携わる医学研究者、医療従事者らから話を聞き、医学教育の現場での課題などを把握できた。法学分野では、憲法、民法の研究者、弁護士らから、法的な観点に基づく知見を得られた。これらの情報は、次年度に予定する本格的な聞き取り調査の内容に反映させたい。最後に、教育プログラム開発の状況であるが、令和5年9月に「同性カップルが子どもをもつこと」を題材にした教材開発を行った論文を公表した。その他、研究分担者と協力して、様々なテーマの教材開発を進めている。 なお、上記以外に研究分担者らによる本研究の関連論文や発表等、多くの研究成果が公表されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者が、令和5年6月から令和6年1月まで、産前産後休暇及び育児休業を取得したことにより、研究が一時的に中断したため、遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度に行った医学研究者、法学研究者及び関連する専門家、学校教員らとの意見交流から得られた知見や問題意識をベースとして、今後は本格的に各方面での聞き取り調査の実施に注力する。教育的アプローチでは、「LGBTに対する意識や理解度アンケート」、「LGBTや家族に関する学習についての聞き取り調査」などを学校教員らに行う。社会的アプローチでは、性同一性障害やLGBTの生殖補助医療に携わる医学研究者、法学研究者、弁護士らへ、それぞれの現場で生じている状況や課題について聞き取り調査を行う。これらの成果から、教育現場や社会の現実的な課題を整理し、課題を克服するための学校教育プログラム開発を目指す。また、現在進めている各種テーマでの教材開発については、さらに授業計画等の精緻化を図り、中・高での授業実践の検証を行いたい。
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Causes of Carryover |
令和5年度は代表者の産休・育休取得により、休業期間中の研究が中断したため、次年度使用額が生じた。使用計画としては、今後の研究の推進方策にも記載した通り、令和6年度に重点的に行う聞き取り調査の準備や資料収集等の調査費に充てるほか、教材開発に伴う各種資料の収集、分析等に使用する。また次年度は、研究調査及び学会発表等に関わる出張の実施についても、支出を見込んでいる。
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