2022 Fiscal Year Research-status Report
民主主義的社会の形成者育成に貢献する歴史活用と学校歴史の役割の再考
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22K02610
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Research Institution | Nippon Sport Science University |
Principal Investigator |
田口 紘子 日本体育大学, 児童スポーツ教育学部, 教授 (10551707)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 市民 / 歴史活用 / 民主主義社会 |
Outline of Annual Research Achievements |
教養として歴史を個人が知るだけにとどめず、市民が歴史を活用し、他者に伝えるパブリックレベルでの歴史活用実践に近年注目が集まっている。しかしながら、市民の歴史活用実践のなかには社会的な非難や論争を引き起こすものもある。民主主義社会の形成をめざし、歴史活用に主体的にかかわる市民を育成する学校歴史学習はどうあるべきなのか。新しい理論構築をめざすことが本研究の目的である。 市民による歴史活用実践を収集・整理し、民主主義社会の形成という観点からその可能性と限界を明らかにすることで、学校歴史の役割を再考したい。具体的には以下の4点を明らかにしたい。 ①市民による歴史活用実践(SNSなどへの投稿や歴史ガイドなど)にはどのようなものがあり、その特質や課題は何か。 ②①を実践とその目的から整理すると、市民による歴史活用実践にはどのようなタイプが見られるのか。 ③②の各タイプを民主主義社会の形成という観点から見たとき、どのような可能性と限界があるのか。 ④③で検討した可能性を拡張し、限界を乗り越えるために、学校歴史は子供たちや市民をどのように支援することができるのか。 2022年度はまず①市民による歴史活用実践(SNSなどへの投稿や歴史ガイドなど)を取集するための方針を決めるべく邦文の文献調査を進めた。教育学、歴史学、社会教育などの先行研究を概観し、今後の調査対象の選択方針として、まずは公共的かつ権威的な性格の強い博物館における展示物や無償あるいは有償のガイドの語りなどを優先することとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
延長していた前研究のまとめの年度であったため、本研究のための時間が不足した。来年度以降は本研究に集中し、研究を確実に進めていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染拡大防止のための自粛要請も緩和されたため、今年度以降は事例の収集やその分析を積極的に進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
延長していた前研究の遂行のため、本研究の時間が確保できず、予算をまったく執行できなかった。 使用計画:本年度は集中して精力的に研究を進め、学会発表や調査などの出張にも行き、予算の執行を行いたい。
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