2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K02782
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
入山 満恵子 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (40389953)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野波 尚子 東京医科大学, 医学部, 言語聴覚士 (00725682)
遠藤 俊介 埼玉県立小児医療センター (臨床研究部), 保健発達部, 技師 (30941687)
田中 裕美子 大阪芸術大学, 芸術学部, 教授 (60337433)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ナラティブ / 学習言語 / 発話誘発 / 話しことばの評価と指導 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、試行や学習を支える高次の言語機能である「学習言語」の評価法や指導法の開発を目指し、「ナラティブを用いた言語評価と指導法の開発」に取り組んでいる。 2022年度は主に①評価法の試作版の検討を重ね、「完成版」に近づけた試作品を作成したことに加え、②指導法はそれまでの実践データに基づき、より現場での使い易さを追求した実践版の作成に着手した。 特に①では、2023年3月に総勢16名のスタッフにより、60名の定型発達児(年長から小3までの幼児、児童)を対象として作成した評価法を試行して現在収集した結果を分析中である。 本データは「定型発達児」の基準データとなるため、慎重な分析が必要であり、そのために海外の知見なども参考に、他の標準化検査(WISCから「知覚推理」等のさほど言語に拠らない項目と、K-ABCⅡからは「表現語彙」、「理解語彙」など言語面に即した項目)なども併せて実施している。 なお、この試行を受けて現時点までに明確になった重要事項としては、特に子どもから発話を誘発する際、提示する側からの教示を工夫しないと、こちらが得たい発話サンプルを確実に収集できないとの点であった。これは、テスターの経験等関係なく、共通してみられた特徴であった。この点については、本研究でも主眼としている「ナラティブを用いていかに子どもの学習言語を伸ばすか」の核ともなるべき課題であるため、引き続き「的確に子どもから発話を誘発する教示と工夫」を検討し、評価法だけでなく指導法に反映させてゆく必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
開発を目指している評価法、指導法ともにメンバーとの情報共有を定期的に継続し、また両者ともに現場で実践する機会を得ている。 実践を繰り返すなかで「修正点」が明確になり、期間中の成果に繋がると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
評価法については、昨年度試行した結果を受けて修正すべき箇所を洗い出し、この一年で「実施マニュアル」を作成して、次年度ではそれをもとにより広い範囲での試行および定型発達児のデータ集積を目指す。 指導法については、今年度協力校(協力教員)を確保し(すでに関東、関西の2地域で内約済み)、実践版の試行を続ける。そのうえで、評価法同様に修正すべき箇所等の確認を進め、併せて実施した子どもたちのデータ集積およびその分析を進める。
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Causes of Carryover |
2022年度当初の計画では、作成している評価法について、一般から参加者を募り試行する予機会を予定していなかったが、作成過程が順調に進み、予想外に早く実施できるバージョンが出来上がり、さらに一般向けに実施してデータ集積をする機会に恵まれた。 そのため、年度途中に次年度の予算を前倒し申請することとなった(一般データ集積に伴う諸経費捻出のため)。その際、参加人数を90名と見込んだが、最終的に60名にとどまったため余剰分が生じ、次年度に回すこととなった。今年度も引き続き、評価法については定型発達児のデータ集積、指導法は各地域での協力者募集を続けるため、その経費に充てる予定である。
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