2023 Fiscal Year Research-status Report
発達障害のある生徒のための大学適応に向けた準備支援プログラムの開発
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22K02784
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
濱田 里羽 金沢大学, GS教育系, 助教 (10710262)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 発達障害 / 大学生活 / 入学前準備 |
Outline of Annual Research Achievements |
発達障害のある大学生には,各大学で合理的配慮や個別の支援が提供されているものの,中途退学や休学を余儀なくされる例も見られ,大学入学前の準備の重要性が指摘されている。本研究は,大学生活に適応するため,発達障害のある学生が大学入学までに身につけることが望ましい内容を明確にし,その準備を支援するプログラムを提案する。 令和3年度に発達障害のある学生が苦戦しやすい大学環境と,発達障害のある学生に重要となるスキルや自己理解について大学教職員を対象とした調査を実施しており,令和4年度は発達障害のある学生が苦戦しやすいと思われる大学環境(20項目)での苦戦可能性,大学生活を継続するために重要と思われるスキル(18項目)・自己理解(3項目)の重要度を分析した。また,その他に自由記述で尋ねた苦戦しやすいと思われる大学生活特有の環境や制度,および身につけておくことが重要だと思われる内容は,KJ法を援用して整理した。これらの研究成果を,令和4年度に2つの学会にて口頭発表し,令和5年度には学会誌への論文投稿を行った。 令和4年度には,この結果を参考に大学環境(26項目)への苦戦度および重要と思われるスキル(24項目)や自己理解(5項目)の定着度,大学生活の円滑度(「単位取得状況」「主観的な大学卒業可能性」)について大学生を対象としたWeb調査を実施した。令和5年度はこの調査の分析を進めた。発達障害傾向の高い学生は低い学生に比べ,大学環境で苦戦していること,スキルや自己理解の定着度を低く捉えていること,大学生活の円滑度を低く捉えていることが明らかとなった。これらの研究成果は2つの学会で口頭発表した。 新たに,より具体的,個別的なエピソードを収集するとともに,学生がスキルや自己理解をどのように身につけてきたのか明らかにするため,発達障害のある大学生を対象に聞き取り調査を開始している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り,大学教職員および学生を対象とした調査を行っており,また成果の発信もできた。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は,令和5年度に開始した学生に求められるスキルを各学生がどのように身につけてきたのか調査を継続する。
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Causes of Carryover |
学生へのインタビュー調査にかかる交通費や,データ整理のためのツールの購入および人件費の支出がなかったこと,研究成果の発信に係る学会が近隣大学およびオンラインでの開催となり交通費が発生しなかったこと等から,残額が生じた。残額は,必要に応じて次年度のインタビュー調査の交通費,データ整理のためのツールの購入費および人件費として使用する予定である。
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