2023 Fiscal Year Research-status Report
教育機関の食支援の円滑な医教連携の地域格差是正に向けたデジタルツール開発
Project/Area Number |
22K02923
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
野本 たかと 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (80246925)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 眞美 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (70419761)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 医教連携 / 学校給食 / 摂食嚥下機能 / 摂食嚥下障害 / 障害児 / 特別支援教育 / (リ)ハビリテーション / 障害者歯科 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は, 障害のある児童生徒が安全で美味しい学校給食を通して適切に摂食機能の学習環境を提供するために学校生活を支える教員と共に医療専門職との円滑な医教連携の実現にむけた取り組みを目的とする。具体的には,地域格差なく教育職と医療職が知識や困りごとを共有・解決できるWEBページなどの開発を行う。 2022年度は,某県の全特別支援学校に対して学校給食の現状などを調査した。その結果,医療的ケア児が88%の学校に在籍し,38%の学校では給食を胃瘻から注入する胃瘻食を提供しているものの,その対応に苦慮していた。そこで,2023年度は,研究のひとつとして,同県の特別支援学校に在籍する医療的ケア児の保護者に対して食事に関する現状等を調査した。 調査方法は,2022年度に調査協力を依頼した某県にある全特別支援学校に対して,無記名自記式の児童の食事等に関する質問票を送付し,医療的ケア児の保護者に配布してもらい,郵送にて返信を依頼した。研究協力の同意が得られた75人の回答結果について示す。栄養摂取方法は,経口摂取なし(全てが経管栄養との回答であったため,以下には経管栄養と記す)41%,経管栄養および経口摂取の併用35%,経口摂取のみ17%,その他7%であった。胃瘻による栄養摂取は全体の63%であった。そのうち,70%が自宅で,36%が学校等の自宅以外の場所で,胃瘻から栄養剤以外のペースト食を注入する胃瘻食を実施していた。本結果から,重度の摂食機能障害を伴う児童生徒とその保護者にとって,胃瘻食は日常のことであり,以前から課題となっている学校給食の胃瘻食提供を希望する可能性が高いと考えられた。 以上から,学校給食に必要な情報提供を行うWebページ作成には,医療的ケア児を含む障害のある児童生徒の学校給食の課題等に関した全国調査を早急に行い,敏速にその結果をWebページに反映する必要性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度は,①全国の特別支援学校,行政・教育委員会,保護者等に郵送法または配布法による質問票調査,②誰もがどこでもeラーニングができるようにするための動画課題をWEBページに設置する予定であった。しかし,新型コロナウイルス感染症蔓延後の学校給食の在り方や対応が地域によって異なっていたことから①の調査を行うことを中止した。その点を補うために,昨年度の調査で課題として明らかとなった2021年の医ケア児支援法施行に基づく新たな給食支援の現状について検討するために,長年にわたり就学前の障害児の摂食指導が療育施設等で積極的に行われている某県のみで実際の食事状況に関して保護者の視点での予備調査を行ったので,やや遅れているといえる。 しかし,2023年度の調査によって,今後,医療的ケア児に対して安全に学校給食を提供する際の課題を知ることができ,来年度の全国調査に向けた充実した調査表の作成が可能となったことから研究の充実は図られた。
|
Strategy for Future Research Activity |
2024年度は,2023年度の調査によって理解された学校給食の現状を踏まえて全国の教員,保護者が困っている学校給食の現状を把握すると共に,医療職に希望する支援内容の理解を図る。 既に2022年度までに行った調査で必要であると考えて作成した給食時に行う食事時の訓練や支援方法の動画を作成してある。その動画を,誰もがインターネットさえあれば閲覧できるWEBページに設置し,知識の提供を行うと共に相互コミュニケーションが図れるeラーニング作成に向けて内容を検討していく。また,現在,作成している動画は,講義形式であり,今後の広い普及を検討するためにはSNSなどで誰もが応用できるように動画の編集等について再検討していく予定である。
|
Causes of Carryover |
2023年度は2022年度と同様に,新型コロナウイルス感染症蔓延のために学校給食の体制にさまざまな制約があり,提供法や食事介助・摂食指導の対応が地域によって大きく異なっていたことから全国調査を中止したために,費用の使用予定額と差異が生じた。2023年度までに予定していた調査を2024年度に実施予定の内容に追加して実施していく予定となっている。
|
Research Products
(2 results)