2023 Fiscal Year Research-status Report
Behavioral synchronization and cultural transmission: Does synchronous behavior facilitate sharing beliefs and preferences?
Project/Area Number |
22K03038
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
石井 辰典 日本女子大学, 人間社会学部, 准教授 (40708989)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 運動同期 / 向社会的効果 / 選好伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
ダンスや合唱に代表されるような、複数の個人が時間的・空間的に身体の動きを同期させる現象(以降、運動同期)は、社会では古くから文化普遍的に見られてきた。そしてこの運動同期は、互いへの友好感情や信頼行動を生み、それが集団成員間の社会的絆を深め、凝集性を高めるという向社会的効果を持つことが実証的に示されつつある。これを受けて本研究では、運動同期が人々の間の文化的情報の伝達にも影響を及ぼす可能性を検証する。そして二者が身体の動きを同期させた場合、同期させない場合よりも、一方が持つ信念・選好のもう一方への伝達が促進されるという仮説を立てた。
仮説の検証のために本年度、昨年度(2022年度)に実施した「運動同期の向社会的効果」に関するオンライン実験の追試を行った。その結果、昨年度行った実験と同様の効果が観察された(参加者がオンライン上で提示されるモデルと指の動きを合わせる高同期群の方が、合わせない低同期群よりも、モデルに対する印象が高かった)。本実験パラダイムの有効性と知見の頑健性を確認することができた。こうした運動同期の向社会的効果を確認するとともに、選好の伝達実験も実施した。モデルが視線を向けた先に呈示されたターゲットの方が、視線とは逆側に呈示されたターゲットよりも、参加者はより好ましいと評価した。モデルが視線をターゲットに向けたことは、モデルがそのターゲットに興味・関心を持っていることを示唆するサインとして機能していると考えられる。したがってこの結果は、モデルの興味・関心が参加者に伝達された可能性を示している。
最終年度(2024年度)には、運動同期研究のパラダイムと選好伝達研究のパラダイムを組み合わせ、運動を同期させた相手が視線を向けたターゲットの方が、同期させなかった相手が視線を向けるターゲットよりも、好ましいと評価されるかどうかを検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
運動同期の効果を確認するとともに、選好伝達が起きることを確認した。しかしながら、オンライン実験の参加者確保がスムーズに進まず、またその他の学内業務等に労力を割く必要があったため、運動同期と選好伝達を組み合わせる研究の実施には至らなかった。一方で、International Social Survey Programmeの公開データを二次分析を行い、信念が文化的に伝達されることを示した研究を実施し、論文化することができた(現在、国際誌に投稿・査読中)。こうした結果も参照しながら、運動同期と選好・信念の伝達の関連についてさらなる検討を行うこととする。
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Strategy for Future Research Activity |
運動同期研究のパラダイムと選好伝達研究のパラダイムを組み合わせ、運動を同期させた相手が視線を向けたターゲットの方が、同期させなかった相手が視線を向けるターゲットよりも、好ましいと評価されるという仮説を検討する。本年度(2023年度)はオンライン実験の参加者募集に苦慮したため、来年度(2024年度)はクラウドソーシング・サービスを使って多数の参加者を確保することを検討する。
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Causes of Carryover |
進捗が遅れているため、予定通りの研究費使用ができなかった。差額は、実験実施のためのサービス料(クラウドソーシング・サービス、オンライン実験プラットフォームの使用料など)や関連論文の投稿費用(英文校正サービス、オープンアクセス費用など)、あるいは実験のための機材購入や研究発表の費用(学会参加や論文発表に関わる費用)に使用する予定である。
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