2023 Fiscal Year Research-status Report
高齢者の自己複雑性と主観的well-being:自己側面間の相互作用過程の解明
Project/Area Number |
22K03039
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
中原 純 中京大学, 現代社会学部, 准教授 (20547004)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊島 彩 島根大学, 学術研究院人間科学系, 講師 (10779565)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 高齢者 / 自己複雑性 / 主観的wel-being / 役割アイデンティティ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、高齢者の社会関係が主観的well-beingに及ぼす影響の心理的メカニズムとして、活動理論研究が示してきた自己の1側面への評価(役割アイデンティティ: RI)の媒介過程(第一過程)に加え、自己複雑性(SC)理論で仮定される複数の自己側面の相互作用過程(第二過程)を導入した新・活動理論を提唱し、データの不足する高齢者のSCに関する基礎的知見を得ると共に、第二過程の実証を試みる。そのために、1年目の予定としては、東海圏の大学に通う大学生および豊田市在住のPCまたはスマートフォンを利用可能な高齢者に対して、初回調査、その後2週間の経験サンプリングを用いた継続調査の準備を行い、可能であれば本調査の実施予定であった。調査内容は、直近1週間のポジティブ事象・ネガティブ事象の数 自己複雑性、主観的well-being、役割アイデンティティの各尺度であるが、自己複雑性についてへの回答はインストラクションが必要なため、この項目を含む初回調査は対面(集合法)で実施する予定である。 2023年度は、まず、初年度であった2022年度に実施した予備調査のデータを慎重に分析した。その結果、第二過程の仮説は実証的には支持されなかった。この理由としては、既存の自己複雑性指標(「H」または「SC」)に問題や複数の自己側面を捉える際の自己複雑性概念適用に問題がある可能性が考えられる。そのため、本調査に入る前に、研究計画の一部見直しも視野に入れ、先行研究の探索および共同研究者間での議論を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度の研究実績の概要で説明した通り、予備調査によるデータ分析の結果、新・活動理論の第二過程の仮説が支持されなかった。そのため、複数の自己側面を捉えるための概念や指標の見直しを行う必要があり、本調査へと進められなかった。以上から、「(3)やや遅れている」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
新・活動理論の第二仮説について、新たな概念および指標が設定でき次第、本調査に入る。なお、調査方法については、オンライン調査への回答が可能な高齢者に調査した場合の回答の偏りを考慮し、当初の計画から変更し、郵送法による調査を計画することとした。
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Causes of Carryover |
予備調査データの分析の結果、本調査前に検討を必要とする事項があることが判明した。そのため、現在その検討中であり、2年目の2023年度も本調査を実施することができなかった。基本的に次年度使用額「1,394,758円」の大部分は、本調査に必要な経費である。また、調査実施後のデータ整理のための費用、共同研究者との打ち合わせ、成果の学会での発表の際に必要な旅費にも使用する予定である。
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