2022 Fiscal Year Research-status Report
教師のメンタルヘルスに対するセルフケア用ACTアプリの開発
Project/Area Number |
22K03160
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
大月 友 早稲田大学, 人間科学学術院, 准教授 (20508353)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石津 憲一郎 富山大学, 学術研究部教育学系, 准教授 (40530142)
下田 芳幸 佐賀大学, 学校教育学研究科, 准教授 (30510367)
国里 愛彦 専修大学, 人間科学部, 教授 (30613856)
桂川 泰典 早稲田大学, 人間科学学術院, 准教授 (20613863)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 教師 / 心理的柔軟性 / バーンアウト / ワークエンゲージメント |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、教師のメンタルヘルスに対するセルフケア用のACTアプリプログラムを開発することを目的としている。1年目である2022年度(令和4年度)は、当初の予定通り、教師を対象とした調査研究を実施した。 ACTアプリプログラムを開発するにあたり、まずは、教師特有の心理的柔軟性の測定方法の開発、さらに、メンタルヘルスのACT的理解を促進させる必要がある。そこで、海外で開発された教師の心理的柔軟性(体験の回避)を測定可能な、Teachers Acceptance and Action Questionnaire(TAAQ)の日本語版を開発し、教師のメンタルヘルスにおける心理的柔軟性(体験の回避)の影響性を検討することを目的とした。小学校・中学校に勤め、児童生徒と直接関わりのある教師300名を対象に、日本語版TAAQ(TAAQ-J)、日本語版Maslach Burnout Inventory-Educators Survey(MBI-ES)、日本語版 Acceptance and Action Questionnaire-II(AAQ-II)、教師の職業ストレッサー尺度、日本語版Utrecht Work Engagement Scale 短縮版(UWES-J),Penn State Worry Questionnaire 日本語版(PSWQ)を実施した。確認的因子分析を行い、TAAQ-Jが原版同様1因子構造であることが示された。また、高い信頼性と妥当性も確認された。さらに、TAAQ-Jのメンタルヘルスへの影響を検討するため、媒介分析を実施した結果、教師のストレッサーとバーンアウトを、TAAQ-Jが部分媒介することが示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、2022年度(令和4年度)は教師を対象としたインタビュー調査と質問紙調査を実施して、教師特有の心理的柔軟性モデルの検証を行う予定であった。現在までに、質問紙調査は実施できたものの、インタビュー調査には手がつけられていない状況にある。ただ、今後も継続的に利用が可能であり、かつ、海外との国際比較も可能な、教師に特化した心理的柔軟性の指標を日本語化できたことは、一定の意義がある。2023年度には研究発表や論文投稿も目処がたっており、全体的に考えるとおおむね順調に進展していると評価できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
2023年度(令和5年度)は、教師を対象としたインタビュー調査を行うとともに、ACT介入プログラムの開発と効果検証のための介入実験研究を実施する予定である。また、すでに教師に特化してはいないものの、一般用のACTアプリプログラムは完成しているため、今後は前述の介入プログラムの効果検証をもとにして、アプリプログラムの改良を進めていく予定である。最終的なシングルケースデザインによる詳細の検討を目指していくとともに、RCT研究の実現に向けて準備を進めていく。
|
Causes of Carryover |
コロナの影響もあり、学会がオンラインで開催されるなど、想定された程の旅費がかかってないことが、次年度使用額が生じている理由としてあげられる。また、インタビュー調査に伴う質的分析のために必要な物品の費用を想定していたものの、2022年度(令和4年度)は実施できていないため、次年度の使用額が生じている状況である。一方で、2023年度(令和5年度)は、対面での学会も多くなっており、研究打ち合わせも含めて、一定の旅費がかかることが予想される。また、インタビュー調査も実施予定なため、それにかかる経費を使用していく予定である。
|
Research Products
(1 results)