2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K03332
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
阿部 敏一 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 講師 (40749157)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 平均 / 行列 / ジャイロ群 / 半群 / 距離 / 中点 |
Outline of Annual Research Achievements |
行列平均がジャイロ可換ジャイロ群の代数的中点として記述できるための条件について着目し一定の成果を得ることができた.本研究課題では特に,正定値行列全体のなす集合である正凸錐に注目して研究を行っている.行列の平均は正定値行列を二つ選ぶとその組に対して何らかの正定値行列を対応させるような二変数写像のうち,いくつかの公理を満たすものである.算術平均や幾何平均は典型的な例である.ジャイロ群は群の公理のうち結合法則を弱めることで定義される代数構造であり,相対論における速度やポアンカレ円板の幾何学に関連する.正凸錐上で幾何平均はあるジャイロ可換ジャイロ群の代数的中点と一致することが知られており,また一方で,算術平均や調和平均などいくつかの平均はそれぞれある半群の代数的中点として記述されることが分かっている.この結果を受け,他の様々な平均について,どのような平均であればジャイロ群(もしくは半群)の代数的中点として記述できるかを調べることが本研究課題の目的の一部である.行列の平均は行列単調関数を用いて表現することができることが知られている.当該年度は,この単調関数に注目し研究を行った.その結果,代数的中点として記述できる平均について,その代数構造の性質が,平均に対応する単調関数の性質として表れることが分かった.特に,平均がジャイロ群の代数的中点として記述できるための簡単な必要条件を単調関数の性質で与えることができた.また,その結果,いくつかの具体的な平均について,ジャイロ可換ジャイロ群の代数的中点として記述できないことが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平均がジャイロ群の代数的中点として記述できるための簡単な必要条件を単調関数の性質で与えることができ,またその結果として,いくつかの具体的な平均がジャイロ可換ジャイロ群の代数的中点として記述できないことが分かったことは一定の成果であると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き平均がジャイロ群の代数的中点として記述できるための条件(必要条件・十分条件・必要十分条件)に付いてより詳しく研究を進めていく.特に,単調関数の性質を用いた必要十分条件が得られないか考察したい.また同様に,半群に関連する平均についても単調関数を用いた評価ができないか考察する.
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Causes of Carryover |
感染症関連で予定よりも研究集会等への参加や対面での研究打合せの回数が少なかったため旅費関連の支出が少なかった.研究集会をはじめ研究交流の機会も回復してきているので積極的に参加するための旅費としての支出を予定している.
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