2022 Fiscal Year Research-status Report
Studies on rigorous integrator for infinite dimensional dynamical systems
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22K03411
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
高安 亮紀 筑波大学, システム情報系, 助教 (60707743)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 計算機援用証明 / 無限次元力学系 / Swift-Hohenberg方程式 / Ohta-Kawasaki方程式 / 発展作用素 / 半群理論 / タイムステッピング |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は時間発展する非線形偏微分方程式(時間発展方程式)の解軌道を厳密に求積する計算機援用証明手法の研究に従事し、解の非摂動的な解析手法の基礎理論を新たに確立することに成功した。具体的には、無限次元力学系として時間発展方程式の解の挙動を捉え、半群理論を用いた不動点形式によって数値的に得られた近似解近傍に解の時間局所存在を計算機援用証明する定式化を確立した。特に不動点形式の不動点が対象の方程式の古典解となる事実を用いて、時間局所解の近傍における一意存在を数値計算で厳密に導く統一的な方法を提案できた。本方法は近似解における発展作用素の時間一様評価を半群理論と精度保証付き数値計算の融合によって実現した点が特長的であり、有限次元部分を数値的に、無限次元部分を半群理論の評価方法でそれぞれ扱うことにより、所望の評価を得ることに成功している。さらに時間区間の端点の評価を行うことによって、解の存在時刻を延長するタイムステッピング法も開発した。複数時間区間にわたる解の数値検証は、各時間区間における局所存在検証を区間演算による数値計算によって繰り返すことで可能になることを示した。この方法の応用として、流体のモデルであるSwift-Hohenberg方程式および材料化学分野のジブロック共重合体(diblock copolymer)モデルであるOhta-Kawasaki方程式に対して適用した。与えられた初期値からの解の時間発展を数値計算で得た近似解近傍において厳密に包含することで、時間発展方程式の解軌道を厳密に求積する計算機援用証明が可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、時間発展方程式の解軌道を厳密に求積する計算機援用証明手法の基盤技術が、精度保証付き数値計算と半群理論の融合によって実現できたため、進捗状況は順調である。特に、数値求積法が統一的な方法であることを示すためにSwift-Hohenberg方程式およびOhta-Kawasaki方程式に適用できる点を示せたことで、本方法の適用範囲がある程度広範囲であることも例証されている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度得られた厳密な数値求積法を用いて、時間発展方程式の計算機援用証明を実現する。具体的には空間多次元のSwift-Hohenberg方程式およびOhta-Kawasaki方程式の解の時間大域存在を厳密な数値求積と解の捕捉領域の数値検証によって実現する。ターゲットとなる平衡解とその固有値の情報を精度保証付き数値計算の技巧で明らかにすることで、平衡解周りの捕捉領域を数値的に構築することに取り組む。そして、捕捉領域内に解の軌道が含まれることを計算機援用証明することで解の時間大域存在が証明される。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症の感染拡大に伴い、対面参加予定だった北海道での日本応用数理学会2022年度年会がセミハイブリッド形式に変更になり旅費の支出が生じなかったことで次年度に繰越が生じた。次年度は国際学会が米国で開催予定であり、旅費・参加費等で支出予定である。
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Research Products
(20 results)