2023 Fiscal Year Research-status Report
Formation of double roughness structures on surface of polymer blend film using atmospheric pressure low temperature plasma
Project/Area Number |
22K04251
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Research Institution | Kagawa National College of Technology |
Principal Investigator |
山本 雅史 香川高等専門学校, 電気情報工学科, 准教授 (60733821)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀邊 英夫 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 教授 (00372243)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ポリマーブレンド / PVDF/PMMA / ダブルラフネス / 大気圧低温プラズマ |
Outline of Annual Research Achievements |
ポリフッ化ビニリデン(PVDF)とポリメチルメタクリレート(PMMA)をブレンドした膜(相溶系)への大気圧低温プラズマ処理によるダブルラフネス構造の形成を試みた。PVDF/PMMAブレンド比は,0/100 %,30/70 %,70/30 %,100/0 %の4種類とした。各ブレンド膜の表面の微細構造と濡れ性を評価した。以下のとおり,研究成果を報告する。
〇PVDF/PMMAブレンド比0/100 %と30/70 %の膜では,プラズマ照射の有無にかかわらず,大きな凹凸を確認できなかった。PVDFの含有比率が70%以上の膜では,大きな凹凸構造を確認した。PVDFのみの膜の表面は,プラズマ照射しても大きな凹凸構造のままであった。1 μm以上のピッチの凹凸構造が支配的であった。一方で,ブレンド比70/30 %の膜では,プラズマ照射条件によって表面形状が大きく異なった。プラズマ点灯エネルギーを7.2 kJとしたとき,ダブルラフネス構造を形成できた。1 μm以上のピッチの大きな凹凸構造だけでなく,0.1~0.7 μmピッチの小さな凹凸構造の形成も確認できた。
〇未照射のとき,接触角はPVDF含有率の増加とともに大きくなった。プラズマ照射すると,いずれのブレンド比の膜においても接触角が低下した。特に,PVDFのみの膜では,接触角の低下が著しく,約30°(93°→62°)の低下を示した。表面の酸化が進行していることを確認した。一方で,ブレンド膜では,ブレンド比が70/30 %であっても,接触角の低下は5°以下であった。表面酸化は確認できなかった。ダブルラフネス構造を有するブレンド比70/30 %の膜は,わずかではあるが,プラズマ処理したPMMAのみの接触角(70°)に比べて10°の接触角の向上を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度の結果をもとに,PVDF/PMMAブレンド比70/30 %のブレンド膜において,ダブルラフネス構造を形成することに成功した。1 μm以上のピッチの大きな凹凸構造のうえに,0.1~0.7 μmピッチの小さな凹凸構造が形成できていることを確認した。一方で,撥水性は不十分であった。PMMAのみの場合よりも向上できたとはいえ,その表面の接触角は80°に留まった。これは,小さな凹凸構造の高さが低かったことが原因と考えられる。小さな凹凸構造の高さの向上については,今年度に行った予備実験において,プラズマジェットで処理することで実現可能な見込みを得ている。小さな凹凸構造を成長させ,撥水性の指標である90°以上の接触角の実現を目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の取り組みで形成できたダブルラフネス構造では,小さな凹凸構造の作り込みが甘かった。接触角の向上は見られたが,撥水性には至らなかった。小さな凹凸構造の高さの向上が必要である。これは,プラズマジェットで処理することで実現できる見込みである。プラズマジェットによるPVDF/PMMA膜へのダブルラフネス構造の形成を行い,微細構造の形状やその表面の濡れ性について調べる。また,PMMA/PS膜(非相溶系)での比較実験を行い,大気圧低温プラズマによる微細構造の形成技術や表面の濡れ性の制御技術への応用展開の可能性を検討する。
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Causes of Carryover |
実験結果の解析が不十分であったため,国際学会への参加・発表を見送った。また,ラマン分光に代わる分析機器として FT-IRの製作を検討していたが,光学系の購入費用を別の予算で賄うことができた。これらの理由のため,次年度使用額が生じた。 次年度の国際学会に参加・発表することを計画しており,その旅費および参加費のために使用する予定である。また,プラズマジェットによる広範囲の処理のため,xy自動ステージの購入費に充てる。
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