2022 Fiscal Year Research-status Report
直列型システムに対する経営効率性分析の理論構築と実証分析
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22K04588
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
関谷 和之 成蹊大学, 理工学部, 教授 (60256667)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 経営効率分析 / 最短距離問題 / 線形計画法 / 凸最大化問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は,研究計画調書に記載した3つの研究計画のうち,「(1)包絡形式の問題点の解明」に関連する研究を行った.対象とした包絡形式のDEAモデルは単一工程の生産活動に対して改善目標設定を目的としたものである.単一工程に関するDEAモデルは既存研究で数多くのモデル開発と事例研究が報告されている.代表的な単一工程に関する包絡形式のDEAモデルは「実現困難な改善目標」を分析結果として提供することが知られている. 多段階工程に関する経営効率性分析,特に、改善目標設定を主目的にした分析では,代表的な単一工程に関する包絡形式のDEAモデルを拡張して適用されている.そのため,各工程における改善目標の実現困難さが顕著に表れることが知られている. そこで,本研究課題では単一工程における包絡形式のDEAモデルに対して最短改善目標設定アプローチを取り込むことで「改善目標の実現困難さ」を解決することにした.しかし,最短改善目標設定アプローチでは生産活動の効率性を効率性尺度でなく非効率性尺度で与えること,さらにその非効率性尺度には単調性破綻という欠陥があることが知られている. そこで,この2つの欠陥を解決するモデル化技法を単一工程に関する包絡形式のDEAモデルにおいて研究した.その結果,生産可能集合の拡大と凸関数最大化をDEAモデルに組み込むことで,強単調な効率性尺度と最短改善目標提示を実現できることを明らかにした.さらに,生産可能集合の拡大と凸関数最大化を組み込んだDEAモデルでは,線形計画法によって効率値計算と改善目標算出が可能であることを示した.線形計画法を基礎とするモデル化技法であることから,2022年度の研究成果は研究計画書に記載した「(2)乗数形式の問題点の解明」の糸口になることが期待できる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
【研究実績の概要】に記載した通り,2022年度は本研究課題の研究計画「(1)包絡形式の問題点の解明」に関連する研究を行い,その研究結果の一部を論文としてまとめ,学術雑誌に掲載することができた.さらに,学術雑誌に公開した研究成果以外は2つの論文にまとめて,国際学術雑誌に現在投稿中である.これらは本研究課題における重要な成果である.研究成果は期待以上であったため、予想していた以上の論文数を執筆することに時間を割くことになった。研究計画「(2)乗数形式の問題点の解明」に関連する研究を取り組む時間を削ることで論文作成時間を確保した。そのため、当初予定では研究計画「(2)乗数形式の問題点の解明」を2022年度開始予定であったが、遅らせることになった。
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Strategy for Future Research Activity |
包絡形式が線形計画問題に帰着可能なことから、研究計画「(1)包絡形式の問題点の解明」の研究を進めることで、研究計画「(2)乗数形式の問題点の解明」も進むことが期待できる。したがって、研究計画「(2)乗数形式の問題点の解明」に関連する研究は2023年度末までに完了するものと予想している。研究計画「(2)乗数形式の問題点の解明」に関連する研究の開始が遅れたため、当初の予定では2023年度から研究計画「(3)多段階DEAの構築と検証」に関連する研究は2024年度から開始する予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた原因は2022年4月に所属機関を変更したために、当初予定していた物品購入と謝金支払いを2022年度から2023年度に変更したためである。
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