2023 Fiscal Year Research-status Report
プロドラッグ合成を指向した微生物によるアミン化合物のγ-グルタミル化の解析
Project/Area Number |
22K05418
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
岩木 宏明 関西大学, 化学生命工学部, 教授 (00368200)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | γ-グルタミル中間体 / γ-グルタミルアミド合成酵素 / アミン分解 / アミン分解菌 / ニトロ化合物分解菌 / 分解経路 / 4-アミノ安息香酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、Paraburkholderia terrae KU-15株の4-アミノ安息香酸分解機構の解明を試みた。具体的には、4-ニトロ安息香酸分解経路の初発酵素遺伝子(pnbA, 4-nitrobenzoate nitroreductase遺伝子)と2段階目の遺伝子 (pnbB, 4-hydroxylaminobenzoate lyase遺伝子)間の約9-kbの領域内に見出されたpabクラスター(pabB1AB2B3C)が、4-アミノ安息香酸分解遺伝子群であると推定し、その機能を実験的に解析することで分解機構を解析した。まず、RT-PCRによりpabクラスターが4-アミノ安息香酸によって誘導発現すること、オペロン(pabオペロン)を形成していることを明らかにした。次にKU-15株のpab遺伝子欠損解析によりpabオペロンが4-アミノ安息香酸の分解に必須であることを示した。さらに、pab遺伝子の大腸菌異種発現によりpabオペロンが4-アミノ安息香酸の分解に直接関与することを明らかにした。これらの解析を通じ、経路の第一段階はグルタミン合成酵素様PabAによるγ-グルタミル中間体(γ-グルタミル-4-カルボキシアニリド)の生成であり、続いてγ-グルタミル-4-カルボキシアニリドがマルチコンポーネント型芳香環ジオキシゲナーゼPabB1B2B3により水酸化されることを示した。また、γ-グルタミル-4-カルボキシアニリドが水酸化された化合物は自発的にプロトカテク酸へ変換することを示唆する結果を得た。PabCはγ-グルタミル-4-カルボキシアニリドを加水分解して4-アミノ安息香酸とグルタミン酸に加水分解する酵素であり、γ-グルタミル-4-カルボキシアニリドが過剰に蓄積することを防いでいることが示唆された。最後にPabA, PabB1B2B3, PabCの特性を解明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は、(1) Paraburkholderia terrae KU-15株の推定4-アミノ安息香酸分解系遺伝子クラスター(pabクラスター)が実際に4-アミノ安息香酸の分解に関与すること、(2) KU-15株の4-アミノ安息香酸分解経路 (γ-グルタミル中間体であるγ-グルタミル-4-カルボキシアニリドを経由すること)の解明、(3)個々のPab遺伝子の機能解明、(3)分解系酵素の特性解析を目標としていたが、それらを概ね達成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
Paraburkholderia terrae KU-15株(4-アミノ安息香酸分解系)、Pseudomonas sp. KU43P(ピペリジン分解系)以外のアミン化合物分解菌のゲノム解析を行い、γ-グルタミル中間体を経由する経路の候補を探索する。γ-グルタミルアミド合成酵素候補遺伝子の機能を実験的に解明し、γ-グルタミル化合物合成のための基礎的知見を得る。
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Causes of Carryover |
必要な物品を購入後端数が残ったが、次年度予算と合算して必要な消耗品を購入する予定である。
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