2022 Fiscal Year Research-status Report
アルキル鎖中の分岐不斉構造識別法の汎用的利用に向けた展開研究
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22K05465
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Research Institution | Shokei Gakuin College |
Principal Investigator |
赤坂 和昭 尚絅学院大学, 総合人間科学系, 教授 (10201881)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 高速液体クロマトグラフィ / 遠隔位不斉識別 / 不斉誘導体化 / アンテイソ脂肪酸 / 蛍光誘導体化法 / リサイクルHPLC |
Outline of Annual Research Achievements |
遠隔位不斉識別法は、誘導体化可能な官能基から遠隔位置にある分岐不斉を逆相HPLCで高感度識別する方法で、不斉識別が困難とされてきた天然化合物の絶対配置の決定、並びに光学純度の決定を実現してきた。しかし、この方法では、-50℃前後の低温条件のコントロールに加え、カラム温度と分離溶媒系の複雑な最適化が必要なことから、汎用的な利用には至っていなかった。 2022年度は、オルタネィテッドリサイクルHPLCシステムを活用することで、特殊な温度条件や複雑な条件検討なしでの不斉分離の実現を目的に、13位に不斉メチル分岐を有するアンテイソ脂肪酸を試料として、分離カラムと誘導体化試薬の再評価、およびオルタネィテッドリサイクルHPLCシステム構築とその可能性について検討した。 その結果、ポリメリック型C30カラムと誘導体化試薬としてシクロヘキサノールの2位に2-ナルタレンスルホンアミドを導入した不斉誘導体化試薬を用いた組み合わせにより、0℃において4.6 mm id ⅹ150mm のC30カラム2本を連結することで分離度Rs=1.64を達成した。更に、六方バルブユニットを用いて2本のカラムを交互に切り替えるオルタネィテッドリサイクルシステムを構築し、1回のリサイクル(それぞれのカラムを2回ずつ通す)で期待通りRsを2.31まで向上することができた。 更に、同様の条件で7~12位に不斉分岐メチル基を有するアンテイソ脂肪酸について分離を検討した結果、8~12位の分岐不斉に対しては、溶出力の調整のため若干の溶媒組成の変更のみでカラムリサイクルを1~4回繰り返すことでいずれもRs>1.9の分離を達成することができた。また、不斉識別が困難であった7-メチルノナン酸誘導体についても8回のリサイクルによりRs=1.36の分離を達成できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
13-メチルペンタデカン酸を用いた検討では、従来型のアントラセンイミド型シクロヘキサノール試薬による誘導体化により―15℃の条件で、リサイクル法の用い完全分離を達成することができたが、温度制御がより容易な氷冷での分離の達成の可能性を検討するため、分離カラムと誘導体化試薬の再検討を行った。その結果、分岐不斉メチル基の位置が7~13位までのアンテイソ脂肪酸については、誘導体化試薬と分離カラムの再検討、およびリサイクルシステムの活用により、氷冷条件下で、溶出力の調整に留める程度の溶媒組成の検討のみで、いずれもほぼ完全分離を達成することができ、遠隔位不斉識別法の汎用化に向けた成果を得ることができた。 一方、より分子量の小さいアンテイソ脂肪酸についても同じ試薬とカラムの条件下で検討したが、十分な分離を得ることができなかった。しかし、これらについても複数回のカラムリサイクルにより0℃での分離が実現できる見通が立っている。更に、汎用型の冷却器で-10~-15℃の安定した冷却を実現すれば、リサイクル法と組み合わせて、煩雑な条件検討なしで不斉分離をより容易に達成できるものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、0℃での分離の実現に向けて3~6位に分岐不斉メチル基を有するアンテイソ脂肪酸の分離・識別に取り組んでおり、引き続きデータの蓄積を行う。 また、試料によって0℃ではリサイクルHPLCシステムを活用しても十分な分離が得られない場合もあと考えられることから、汎用型の冷却器を活用して-10~-15℃程度まで冷却可能なシステムを構築し、その有用性・実用性についても評価を加える。 また、14位以上の位置に分岐不斉メチル基を有するアンテイソ脂肪酸についても新しい方法の可能性について検討する。 更に、2022年度は、分岐不斉カルボン酸の汎用的な不斉分離の可能性のみについて検討したが、分岐不斉脂肪アルコールにつても合わせて検討を加え、遠隔位不斉識別法におけるリサイクルHPLCシステムの有効性についての展望と限界を明確にすることを目指す。 これらの研究と並行して、現在所有していない光学活性標準試料の合成を行う。
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Causes of Carryover |
カラムを冷却するための循環冷却装置の導入を予定していたが、納期が6ヵ月以上かかる見通しで、2022年度内の導入が見込めなかったため、2023年度早期に導入することとした。
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