2022 Fiscal Year Research-status Report
ゲノム恒常性を支えるヘテロクロマチン形成機構の解明
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22K06182
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
安喜 史織 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (50747946)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | クロマチン構造 / ヒストン修飾 / 植物ホルモン |
Outline of Annual Research Achievements |
生命の設計図であるゲノムDNAを安定的に保つことは生物にとって非常に重要である。植物はDNA損傷を誘発するようなストレスから逃れることができないため、ゲノム安定性を維持する機構はなおさら重要である。ゲノムを脅かすものとして、DNA複製エラーなどの内的要因があるが、植物の場合は紫外線や光合成過程で産生される活性酸素、土壌中の重金属、病原菌感染など、様々なストレスがDNA損傷を誘発する。したがって、ゲノムの傷を治すDNA修復マシナリーだけでなく、そもそも傷が入らないようにゲノムを守る仕組みも非常に重要であると考えられるが、その実体は全く解明されておらず、未解明の「問い」として残されたままである。本研究では「植物ホルモンの一種であるオーキシンがクロマチン構造を制御することによりゲノム恒常性を維持する」という仮説を立て、その検証を行うことにより、ホルモンによるゲノム安定性制御という新たな概念を提示することを目標とした。オーキシンの下流でヒストン修飾因子のタンパク質の安定性が増すことをすでに明らかにしていたことから、本年度はヒストン修飾因子の安定性に関わると想定していたタンパク質分解関連因子に着目し、解析を行った。その結果、in vitroでヒストン修飾因子とタンパク質分解関連因子が直接相互作用することを明らかにした。さらに、タンパク質分解関連因子がオーキシンによりどのように制御されるのかを調べた。その結果、この因子は転写レベルでもタンパク質レベルでも外的なオーキシンに応答しなかったことから、当初想定していなかった制御系が存在すると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
想定していたタンパク質分解関連因子がヒストン修飾因子と直接相互作用することを明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
タンパク質分解関連因子がオーキシンによりどのように制御されるか、機能阻害に着目して解析を続ける。
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Causes of Carryover |
解析条件の検討に時間を要したためいくつかの解析が実施できず当該助成金が生じた。次年度にこれらの解析を実施する。
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