2023 Fiscal Year Research-status Report
Quantitative structure-activity relationship analysis of anti-inflammatory drugs with activate Nrf2
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22K06572
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Research Institution | Shujitsu University |
Principal Investigator |
山川 直樹 就実大学, 薬学部, 教授 (20583040)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田坂 祐一 就実大学, 薬学部, 准教授 (00574758)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 非ステロイド系抗炎症薬 / 核因子赤血球系2-関連因子2 / 抗酸化作用 / 活性酸素 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、非ステロイド系抗炎症薬(Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs:NSAIDs)による核因子赤血球系2-関連因子2 (Nuclear factor-erythroid 2-related factor 2: Nrf2)の活性化作用及びヘムオキシゲナーゼ(heme oxygenase:HO)-1の誘導に関する構造活性相関を解明することを目的とする。前年度までに研究代表者らは、HEK-293細胞株(ヒト胎児の腎由来の細胞株)を用いて、ルシフェラーゼレポーターアッセイ法による化合物のin vitroにおけるスクリーニング評価系を構築した。また、この評価系にて国内外から入手したNSAIDsライブラリーのスクリーニング実験を実施し、Nrf2の活性化に対して有効性を示すいくつかのヒット化合物を抽出した。2023年度は、抽出したヒット化合物について、まずNrf2の活性化に対する用量依存性及び作用発現時間依存性の検討を行った。その結果、Nrf2の活性化能が高い化合物の構造には、共通した官能基が含まれていることが示唆された。次に、ヒット化合物の中からNrf2の活性化作用が最も強い化合物を同定し、この化合物のNrf2活性化能をについて、骨髄細胞系でNrf2を活性化することが報告されているNSAIDと比較検討を行った。その結果、腎細胞系で同定した化合物は、骨髄細胞系でNrf2を活性化させる化合物と比べて用量依存的に低濃度で有効性を示すことが示唆された。一方、Nrf2の活性化に依存しない抗酸化作用の関与を確かめる目的で、ヒット化合物の直接的な活性酸素種(ROS)の消去活性について検討を行った。その結果、Nrf2の活性化能が高い化合物は、ヒドロキシラジカルに対して比較的強い消去活性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに研究代表者らは、研究対象とする非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)の化合物ライブラリーとヒト胎児の腎由来の細胞株(HEK-293細胞株)を用いたルシフェラーゼレポーターアッセイ法によるin vitroにおけるスクリーニング評価系を構築し、核因子赤血球系2-関連因子2 (Nrf2)の活性化作用に対して有効性を示すヒット化合物の抽出に成功している。また、抽出したヒット化合物について化学構造の観点から解析を行い、Nrf2の活性化能に関与する官能基を同定した。さらに、ヒット化合物の中からNrf2の活性化能が最も強い化合物を同定することができている。そこで、本研究の次の目的は、上記のスクリーニング実験で得られたヒット化合物が、実際にNrf2の活性化を介してヘムオキシゲナーゼ-1(HO-1)を誘導することを確かめることである。また、ヒット化合物に含まれていた共通した官能基が、どのようなメカニズムでNrf2の活性化に寄与しているかを調べることも重要である。現在、これらの課題を解決するために、ウエスタンブロッティング法(抗体を用いて特定のタンパク質を検出する方法)を用いたHO-1の検出及び有機合成化学的手法による構造改変に関する検討を行っている。以上より、本研究課題の当該年度における研究は概ね当初計画通りに進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題を解決するにあたり、今後は次のような研究を実施する予定である。1)ウエスタンブロッティング法を用いて、ヒット化合物によるHO-1の誘導を確認する。その際、NSAIDsによるNrf2の活性化とHO-1の誘導が、細胞の核内への移行を介した遺伝子発現に依存するものであるかについても調べる予定である。2)Nrf2の活性化能が最も強い化合物のヒット化合物について複数の誘導体を合成し、これらのNrf2の活性化とHO-1の誘導に対する構造活性相関について解析を行う。3)ヒット化合物及び2)の研究で薬理活性が期待できる誘導体を選択し、小動物を用いたin vivoにおけるNrf2の活性化とHO-1の誘導作用を調べる。以上のような研究を行い、NSAIDsのNrf2活性化に関するメカニズムの解明へと繋げたいと考えている。
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