2023 Fiscal Year Research-status Report
睡眠サイクルを考慮した経鼻脳薬物送達法の構築及び神経変性疾患治療戦略への応用
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22K06709
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
井上 大輔 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 助教 (50550620)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 経鼻投与 / 神経変性疾患 / 脳内薬物送達技術 / 睡眠サイクル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、鼻から脳への直接的薬物送達経路(NTB経路)を利用した神経変性疾患に対する新規治療薬開発を目指して、効率的なNTB薬物送達技術の構築を試みた。本研究では特に、NTB経路を介した脳への薬物送達性に対する生理機能の影響を解明することを目的として種々検討を行った。過去の検討から、NTB経路を介した脳内薬物送達効率が睡眠時に向上することを見出しており、本検討では生理機能として睡眠サイクルの影響の解明を目指す。 本年度の検討では、睡眠機能を維持した状態で経鼻投与を行う評価法およびその手技はこれまでに全く報告されていないため、まず、睡眠サイクルに合わせた経鼻投与法の確立及び睡眠下での脳内薬物動態を観察できる評価法の考案を試みている。現在、自然睡眠サイクルを妨げない経鼻投与法及び観察評価法の構築を進めている。 一方、本研究では、経鼻投与型製剤の神経変性疾患に対する治療薬への応用を目指していることから、神経変性疾患治療に資する抗炎症薬の固形製剤化研究を並行して検討した。本結果から、鼻から脳への薬物移行性を向上させた製剤の開発に成功した。ここで開発した製剤を経鼻投与することで、LPSにより誘発した神経炎症の抑制傾向が認められた。 今後は、睡眠サイクルを考慮した経鼻投与法の確立を目指しつつ、神経炎症に対する有効な経鼻投与型製剤の開発を継続することで、神経炎症に対するより高効率なNTB薬物送達技術のプラットフォーム開発を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
過去に自然睡眠下での経鼻投与手法が皆無であるために、睡眠機能を維持した研究手法の確立に難航しており、進捗が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
新規評価法の構築が必要であるため、実験手法の確立に時間を費やしているが、評価法についてある程度の基礎的知見が得られつつある。今後は、評価法の開発と並行して、製剤研究及び薬物動態解析、薬理学的検討を遂行することで、研究の更なる効率化をはかる。効率化、最適化による研究推進を試みることで、当初計画の通りに本研究を遂行、完了させる予定である。
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Causes of Carryover |
概ね予定していた予算を使用して種々検討を行うことができたが、睡眠下実験の確立が難航しているために進行が遅れており、その分の差額が生じた。実験手法の確立ができれば、予定通り検討を行うことができるため、翌年度において使用額分を執行する予定である。
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