2023 Fiscal Year Research-status Report
腎細胞がんの遺伝子変異に着目したプロリン水酸化酵素阻害薬の安全性評価
Project/Area Number |
22K06734
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
水野 智博 藤田医科大学, 医学部, 准教授 (40711669)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坪井 直毅 藤田医科大学, 医学部, 教授 (50566958)
白木 良一 藤田医科大学, 医学部, 教授 (70226330)
高橋 和男 藤田医科大学, 医学部, 教授 (90631391)
中井 剛 藤田医科大学, 医学部, 講師 (80753285)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | HIF-PH阻害薬 / VHL |
Outline of Annual Research Achievements |
①血管内皮細胞増殖因子(VEGF)受容体阻害薬に対する耐性獲得に至ったメカニズムの解明、②VHL腫瘍抑制因子変異以外の遺伝子変異が、HIF-PH阻害薬による腫瘍増殖作用に与える影響の検証を想定していたが、①について、VEGF濃度を測定したところ、用量依存的な濃度上昇が認められなかった。前年度、VEGF受容体阻害薬による増殖抑制作用が認められなかったのは耐性獲得ではなく、VEGF発現そのものが亢進していなかったと考えられる。HIF-PH阻害薬が腫瘍増殖に与える影響を示す報告があり、研究計画を変更し、上市済みの5種のHIF-PH阻害薬が腫瘍増殖に与える影響について検討を行った。VHL腫瘍抑制因子変異株およびVHL腫瘍抑制因子非変異株を使用し、0-200μMの各濃度を用い、本邦で使用されている5種のHIF-PH阻害薬で刺激したところ、VHL腫瘍抑制因子非変異株でのみ用量依存的な腫瘍増殖が認められた。一方、VHL腫瘍抑制因子変異株では、明らかな増殖作用は認められなかった。すなわち、2022年度のin vivoでの検討を裏付ける結果が得られた。ただし、ダプロデュスタットのみ、溶解性が低かった。 想定されるメカニズムとしては、すでにVHL腫瘍抑制因子変異を持つ腫瘍株では、HIFが恒常的に活性化しており、HIF-PH阻害薬による追加活性の影響が少ない可能性がある。一方、VHL腫瘍抑制因子変異を持たない腫瘍株は、HIF活性が比較的弱く、HIF-PH阻害薬によるHIF活性化が認められ、腫瘍増殖を促進したと考えられる。 今後、in vivoにおいても、ロキサデュスタット以外のHIF-PH阻害薬投与を実施し、腫瘍増殖に与える影響を検討していく。 ②については、研究分担者と共同で、ベクターを用いた遺伝子導入技術の手技習得を目的とした予備的実験(手技練習用の遺伝子を使用)を行い、良好な導入効率を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画時にはロキサデュスタットのみを用い、HIF-PH阻害薬による腫瘍増殖作用の評価を予定していたが、他施設からの報告を踏まえ、計画の変更に至った。変更後、in vitroにて良好な研究結果を得ることができたため、おおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は最終年度となるため、得られたデータを精査し、論文発表を行う。In vitroでの検討は、ダプロデュスタット以外、おおむね完了しているが、ダプロデュスタットの溶解性が向上するような溶媒のスクリーニングを実施していく。in vivoにて、当初予定していなかった5種類のHIF-PH阻害薬による腫瘍増殖を評価することとなったため、2024年度予算を関連試薬購入費およびヌードマウス購入へ振り分け、研究を実施する。
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