2022 Fiscal Year Research-status Report
大腸がん肝転移を規定する間質由来因子PAI-1を標的とした治療戦略の確立
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22K06783
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Research Institution | Microbial Chemistry Research Foundation |
Principal Investigator |
大石 智一 公益財団法人微生物化学研究会, 微生物化学研究所 沼津支所, 主任研究員 (50442546)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | がんー間質相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
Ⅰ. 大腸がん-間質細胞の共培養における大腸がん細胞の増殖性変化に対するPAI-1の機能:複数のヒト大腸がん細胞株にPAI-1を加えた時に生じる大腸がん細胞増殖性変化について、これに関与しているシグナルを、ヒト蛋白質リン酸化抗体アレイによって検討したところ、がんの悪性化に寄与するシグナルの関与をみいだした。Ⅱ. PAI-1による大腸がん-肝臓間質細胞相互作用を修飾可能な化合物の同定:当研究所が保有している複数の微生物培養液ライブラリーと化合物ライブラリーの中から、PAI-1の阻害を介して大腸がんの増殖性を制御できる微生物培養液および化合物をスクリーニングによって検討する。PAI-1の阻害を標的にスクリーニングを行ったところ、複数のヒットを得た。今後、同培養液に含まれている化合物の同定を進める。Ⅲ. PAI-1による大腸がん-肝臓間質細胞相互作用を修飾可能なPAI-1中和抗体の同定:申請者らはこれまで、東北大学の加藤幸成教授らとともに制がん効果を有する様々な抗体を創製してきた。これまでの手法に従い、PAI-1の機能を阻害可能なPAI-1中和抗体の候補を複数得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでのところ、当初の予定通り順調に進んでいる。中和抗体の創製のところで、PAI-1に結合する抗体が予想以上に多く得られたため、中和活性の強度をハイスループットに評価可能な系を立ち上げるのに時間がかかった。しかしながら、精度の高い系を立ち上げることができたため、絞り込みがスムーズに行えた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでのところ、当初の研究計画通りすすんでいる。細胞内シグナル経路の同定のデータは、これまでヒトの大腸がん細胞とマウスの大腸がん細胞で取得してきたが、さらに種類を増やして、得られたデータの精度を上げたい。また、本年度得られたPAI-1中和抗体を用いて、in vivoの試験を早急に行い、これまで得られた知見を実証したい。
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