2022 Fiscal Year Research-status Report
ALK1シグナルの臓器特異的血管形成における意義と難治性血管疾患の発症メカニズム
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22K06803
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
浦崎 明宏 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (40550083)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 修 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 部長 (40283593)
渡邉 裕介 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (20562333)
垣花 優希 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, リサーチフェロー (40910534) [Withdrawn]
原田 恭弘 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, リサーチフェロー (70911402)
橋本 大輝 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, リサーチフェロー (40911342)
LAMRI LYNDA 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, リサーチフェロー (90883984)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | acvrl1 / ALK1シグナル / 消化管血管形成 / 遺伝性出血性末梢血管拡張症 |
Outline of Annual Research Achievements |
動脈・静脈・リンパ管は独自のネットワークを形成するが、近年、解剖学的特徴を裏付ける分子機構が明らかになってきた。内皮機能に関する研究は盛んに行われているが、新たに生じた循環系が既存血管とどのように繋がり、機能的な循環系を形成するのかについては不明である。従来のヒト血管内皮培養細胞を用いた研究では、内皮細胞機能を調べることは可能であるが、血流のある立体的な血管形成の解析は難しい。網膜血管系などのマウス生体内血管解析系では、特定部位・時期の解析であり、内皮細胞挙動、組織・臓器特有の血管形成、循環システムの解析には限界があった。そこで、本研究では、モデル脊椎動物ゼブラフィッシュにおいてTol2トランスポゾンを用いて血管可視化系統を樹立した。これにより、観察が困難だった消化管循環系と脳循環系の血管・血球を可視化できることができ、消化管循環系と脳循環系の形成過程の解析を行うことができた。新たに生じた消化管循環系と既存循環系がどのように既存の循環系と接続するかについては明らかになっていなかったため、その接続に焦点をあて解析した。その結果、消化管循環系と既存循環系の接続形成過程およびその接続に必要なシグナリングが明らかになった。本研究により、従来法では限界があった内皮細胞挙動、組織・臓器特有の血管形成、循環システムの解析などが可能になった。本研究は、血管形成を循環システム形成という視点から捉え直すのみならず、血管疾患の予防・症状緩和・治療法開発など医学分野にも波及効果が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで観察が困難だった消化管循環系と脳循環系の血管・血球を可視化できる系統を樹立し、消化管と脳における血管形成過程の解析を行うことができた。消化管循環系と既存循環系がどのように接続するかについては明らかになっていなかったが、その接続過程の可視化に成功し、その接続に必要なシグナリングを明らかにできた。
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Strategy for Future Research Activity |
新たに生じた循環系と既存循環系の接続という観点からいうと、脳循環系よりも消化管循環系の方が不明なことが多い。特に、初期の消化管循環系がどのように形成されるのかはあまり解析されていない。そこで、初期の消化管循環系がどのように形成されるか、新たに形成された消化管循環系が既存循環系とどのように接続するかについて重点をおいて研究する予定である。
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Causes of Carryover |
既に作成済みの変異体およびトランスジェニック可視化系統の顕微鏡観察を中心に、研究を進めた。前年度においては、新たな系統作成費や抗体染色を用いた細胞組織学的解析に経費を使わず、予定よりも使用額が少なかった。また、新型コロナウイルスの流行により、学会出張の旅費に余剰が生じた。次年度には、試薬購入費が必要になること、研究成果発表に関する経費も生じることから、昨年度の余剰分も含め予算を使っていく予定である。
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Research Products
(2 results)