2023 Fiscal Year Research-status Report
睡眠時無呼吸症候群モデルラット頸動脈小体のグルタミン酸受容体による長期増強機構
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22K06813
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
横山 拓矢 岩手大学, 農学部, 准教授 (70772094)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋野 朝幸 岩手医科大学, 医学部, 教授 (40305991)
東尾 浩典 岩手医科大学, 教養教育センター, 准教授 (50342837)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 頸動脈小体 / グルタミン酸 / 睡眠時無呼吸症候群 / ADP |
Outline of Annual Research Achievements |
大学異動により慢性間欠的低酸素曝露実験を通じて作製した睡眠時無呼吸症候群モデルラットにおける研究が難航したため、頸動脈小体と同一の起源をもつ副腎髄質を対象としてカテコールアミン分泌機能に対する調節メカニズムの研究を遂行した。 副腎髄質において、主たる機能であるこれまで機能が不明であったグリア様支持細胞に細胞外ATP分解酵素NTPDase2を発現していることを見出した。生物発光法によって副腎髄質のNTPDaseが細胞外ATP分解活性を有することを薬理学的に証明すると共に、副腎髄質スライス標本を用いたカルシウムイメージング法によってNTPDase2によるATPの分解産物ADPが主にP2Y12受容体を介してクロム親和性細胞の興奮を抑制性に調節していることが分かった。クロム親和性細胞がカテコールアミンと共にATPを開口放出する事実を踏まえると、支持細胞はNTPDase2によってATPを分解し、ADPは副腎髄質の内分泌機能を負のフィードバック調節している可能性がある。 頸動脈小体においてもADPによる局所調節機構を検討した。頸動脈小体の化学受容細胞にP2Y12受容体が発現し、支持細胞にNTPDase2およびNTPDase3が発現していた。生物発光法によりNTPDaseの細胞外ATP分解活性を確認した。化学受容細胞はATPを開口放出して血中の酸素分圧低下を中枢へ伝えることから、支持細胞は化学受容細胞由来のATPを分解すると共に、分解産物ADPはP2Y12受容体を介して化学受容細胞の低酸素反応性を抑制性に調節している可能性がある。以上の結果から、頸動脈小体および副腎髄質において細胞外ヌクレオチドの代謝産物を介した調節経路の存在が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
免疫組織化学法による睡眠時無呼吸症候群モデルラットにおけるグルタミン酸受容体の発現解析は、抗体特異性の問題で良好な結果が得られていない。また、カルシウムイメージング法を用いた化学受容細胞に対するグルタミン酸の反応特性解析および頸動脈小体に分布する感覚神経の活動記録実験は実験準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
免疫組織化学法からin situハイブリダイゼーションに変更してグルタミン酸受容体のmRNA局在を検討するため、予備実験を行っている。また、走査透過型電子顕微鏡法によって感覚神経終末-化学受容細胞間に認められる双方向性シナプスの形態変化を解析中である。
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Causes of Carryover |
研究分担者2名への分担金の送金手続きが事務処理の不手際により年度末に送金された結果、分担金の使用が遅れたため。
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