2022 Fiscal Year Research-status Report
Genomic and epigenomic histone alterations and role for osteogenic differentiation in bone tumors
Project/Area Number |
22K06941
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山元 英崇 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (30404073)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 骨巨細胞腫 / 骨分化 / 転写因子 / ヒストン / メチル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨巨細胞腫(Giant cell tumor of bone; GCTB)は単核腫瘍細胞と破骨型多核巨細胞からなり、RANKL-RANKシグナルにより、破骨型多核巨細胞が活性化され、骨吸収・破壊を引き起こすと考えられている。ほとんど(95%)のGCTB症例において、単核腫瘍細胞はヒストンH3F3A遺伝子変異(特にH3.3G34W)を有する。通常のGCTBでは骨形成は見られないが、治療としてRANKL阻害薬デノスマブを投与したGCTBの組織検体では骨分化が亢進していることが知られている。 我々は、GCTBの腫瘍細胞は潜在的に骨芽細胞分化能を有しつつも分化が抑制された状態にあり、それにはH3F3A変異、ヒストン修飾や腫瘍微小環境が関与しているのではないかと仮説を立てた。また、GCTBと組織学的に類似し、ヒストンH3F3B遺伝子変異を有する軟骨芽細胞腫(chondroblastoma; CB)も同様のメカニズムで、骨・軟骨分化が制御されているのではないかと仮説を立てた。 本研究ではまず、GCTBやCBにおいて、骨・軟骨細胞系の分化マーカーを免疫組織化学にて検討した。GCTBではSATB2, RUNX2といった骨芽細胞分化の初期段階から関与する転写因子の高発現が見られた。CBでは軟骨細胞の転写因子であるSOX9に加え、SATB2とRUNX2も高発現していた。このことから、GCTBとCBはそれぞれ骨、軟骨分化の比較的早期の段階までは進行しているが、後期の分化・成熟が抑制されている可能性が疑われた。 この結果をもとに、いくつかの骨転写因子のエピゲノム異常を検討するため、bisulphate sequenceを行ったところ、遺伝子Xにおいて、プロモーター領域のメチル化と蛋白質発現の低下が確認された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者は年度途中で他研究機関に異動したため、その間、研究進捗にやや遅れが生じた。
|
Strategy for Future Research Activity |
骨巨細胞腫GCTBにおいて、メチローム解析により、さらに網羅的に骨形成関連因子のメチル化をスクリーニングする。また野生型ヒストンH3.3や変異型ヒストンH3.3G34Wに対する特異的抗体を用いて免疫沈降を行い、H3.3の結合領域のDNAをNGSにてシークエンス(ChIP-sequence)を行う予定である。正常骨芽細胞とGCTB腫瘍細胞のデータを比較することにより、変異型ヒストンH3.3G34Wによって、発現が変化する標的遺伝子を探索する。これらの解析から、ヒストンH3.3変異と標的遺伝子の発現やそのメチル化の関係を検討したい。
|