2022 Fiscal Year Research-status Report
大腸癌におけるmiRNA146bの制御分子の解析を基にした癌間質マーカーの同定
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22K06986
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
深澤 由里 東邦大学, 医学部, 講師 (90392331)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤澤 千恵 東邦大学, 医学部, 講師 (10393000)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 大腸癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
microRNA146bノックアウトラット(KOラット)と野生型ラット(Wildラット)に1,2-dimethylhydrazine (DMH) を皮下投与することで、結腸癌を発生させ、組織学的に解析を行った。全結腸の腫瘍形成を確認したところ、KOラット19匹において粘膜癌(m癌)15個,粘膜下層へ浸潤する癌(sm癌)8個,固有筋層まで浸潤する癌(mp癌)3個,漿膜下層・漿膜まで浸潤する癌(ss/se癌)1個、Wildラット17例においてm癌12個,sm癌12個,mp癌2個,ss/se癌1個の腫瘍形成をみとめたが、腫瘍の発生頻度としてはKOラットおよびWildラットで明らかな違いはなかった。組織型は多くが高>中分化型管状腺癌で、低分化腺癌の発生も数例みられたが、組織型に関してもKOラットおよびWildラットで明らかな差をみとめなかった。Masson-Trichrome染色を施行したところ、Wildラットと比較し、KOラットでは、浸潤先進部のがん間質において膠原繊維の量に太さと量に差をみとめた。今後sirius red染色も加え、主観的評価ではなく画像解析ソフトによる客観的な評価を行い、KOラットとWildラットのがん間質の違いについて解析する。 形態的に腫瘍部以外に明らかな細胞異型をみとめなかったが、免疫組織化学染色似てTP53の発現を確認するために、複数の一次抗体で染色を試みた。ラット組織において染色条件を見出すことができなかった。 Wildラットに対してラット大腸癌細胞株をラット盲腸漿膜下層、ラット皮下、尾静脈に注入し生着させ、転移モデルの確立を試みたが、大腸癌細胞株が生着せず、培養細胞による転移モデルを確立することはできなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ラットのDMH投与による大腸癌作製モデルにおいて、大腸癌以外に中耳~内耳において扁平上皮癌系腫瘍の発生が生じることで、経過観察期間までラットを観察することができず、DMH投与量を変更するなどの検討が生じたため。また、比較的頻度高く小腸腫瘍・膵臓癌なども発生し、急死するラットが生じており、計画以上にラットの数を増やす必要が生じたため。 CO2インキュベータが故障し、培養細胞を用いる実験が途中からできなくなったため。
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Strategy for Future Research Activity |
画像解析ソフト利用し、より客観的に組織学的所見を評価することで、研究を推進する。 CO2インキュベーターの購入やリースなどを調べ、円滑に実験をできる環境を整備する。
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Causes of Carryover |
in situ hybridization(ISH)の外注を検討し準備したが、条件検討の手前で中止せざるを得なかったことから、その分の使用額が未使用となった。ラットの大腸癌の初代培養ができず、分子生物学的解析が進まなかった。ラット大腸癌細胞株がラットに生着せずに、転移モデルの実験が進まなかった。 次年度は、ISH以外の解析を検討し、ターゲットとなる分子の解析(外注を予定)に使用する。学会発表のため、学会参加費に使用する。また、培養環境が整った時点で、他の大腸癌細胞株で再検討を行う予定であり、それらの物品、試薬の購入費用にあてる予定である。
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