2022 Fiscal Year Research-status Report
肉腫におけるトラベクテジンの奏効性と融合遺伝子の相関の分子背景を調べる研究
Project/Area Number |
22K07036
|
Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
近藤 格 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 分野長 (30284061)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小迫 英尊 徳島大学, 先端酵素学研究所, 教授 (10291171)
野口 玲 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 研究員 (30779682)
吉松 有紀 地方独立行政法人栃木県立がんセンター(研究所), 研究所-医療シーズ探索研究G-患者由来がんモデル研究分野, グループ長 (60808632)
川井 章 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 科長 (90252965)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 患者由来がんモデル / 肉腫 / トラベクテジン / プロテオミクス / 質量分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
新規の抗がん剤として肉腫に承認されている抗がん剤は3種類あり、そのうちの一つがトラベクテジンである。トラベクテジンは本邦では肉腫全般に承認されているが、臨床試験での有効性が確認されたのは一部の肉腫である。したがって、トラベクテジンの抗腫瘍効果が認められる肉腫を調べ、奏効性予測バイオマーカーを開発することは、臨床的に重要である。本研究では、国立がん研究センター・希少がん研究分野で樹立された 67種類の患者由来肉腫細胞株(25種類の組織型)を用いて、トラベクテジンの感受性試験を行い、合わせて質量分析を用いたプロテオーム解析をすることで、トラベクテジンが有効な肉腫組織型およびコンパニオン診断薬になりえるバイオマーカータンパク質の同定を目指している。今年度は、 種類の肉腫細胞株を対象にトラベクテジンの感受性試験を行った。その結果、トラベクテジンの感受性は肉腫細胞株によって多様であり、きわめて低濃度で増殖が阻害される細胞株から、増殖がほとんど阻害されない細胞株まで、幅広く存在することがわかった。特定の組織型について特に高い感受性あるいは抵抗性は認められなかった。したがって、組織型を目安にトラベクテジンの抗腫瘍効果を予測することは困難であることが予測される。また、標準的治療法がなく難治の肉腫の細胞株についてトラベクテジンが高い確率かつきわめて低濃度で抗増殖効果を示していたことから、当該肉腫に対してはさらなる検討が優先される。平行して質量分析を用いたプロテオーム解析を行い、それぞれの細胞株のタンパク質プロファイルを作成した。そして、トラベクテジンのIC50に正または負に相関するタンパク質の同定を進めている。また、本研究を拡充するために患者由来肉腫細胞株を新規に樹立した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
トラベクテジンの抗増殖効果を調べる実験を、患者由来肉腫細胞株67株を用いてスクリーニングし、IC50を産出し、感受性・抵抗性を示す細胞株を特定することができた。調べた細胞株の中には特徴的な融合遺伝子をもつ肉腫や、きわめて難治な肉腫が含まれており、研究計画の通りに実験が進められた。また、プロテオーム解析によるタンパク質の発現プロファイルも順調に作成することができ、奏効性・抵抗性の分子機構を調べるための基礎的なデータを得ることができた。また、本研究を拡充するために患者由来肉腫細胞株を新規に樹立した。
|
Strategy for Future Research Activity |
プロテオーム解析で得られたタンパク質プロファイルをもとに、トラベクテジンの奏効性・抵抗性に関わるタンパク質を同定する。具体的には、トラベクテジンのIC50に相関するタンパク質を同定し、その分子パスウェイを吟味したりin vitro実験を行うことのによって、機能的な意義を明らかにする。そして、当該タンパク質の奏効性予測バイオマーカーとしての有用性を検討する。また、融合遺伝子をもつ肉腫のうち、トラベクテジンに奏効性・抵抗性を示す細胞株について、臨床的な観察事象との整合性を調べ、患者由来肉腫細胞株の可能性と限界について検討する。
|
Causes of Carryover |
計画していたより培地などの消耗品の使用が少なかったため次年度使用額が生じた。
|
Research Products
(22 results)
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] Histological and proteomic analysis for the evaluation of perfusion culture system of spheroids2022
Author(s)
Takuya Ono, Rei Noguchi, Yooksil Sin, Julia Osaki, Taro Akiyama, Yuki Adachi, Airi Nakano, Kazuyoshi Yanagihara, Keigo Amari, Yutaka Sugihara, Yuki Yoshimatsu, Yoshio Kodera, Tadashi Kondo
Organizer
HUPO 2022 Congress
Int'l Joint Research
-
[Presentation] Proteomic Analysis of the Molecular Biological Changes Induced by Fatty Acid-Binding Protein-5 inhibitor in Hepatocellular Carcinoma2022
Author(s)
Yuki Adachi, Rei Noguchi, Yookil Shin, Takuya Ono, Taro Akiyama, Julia Osaki, Yuki Yoshimatsu, Yutaka Sugihara, Kazuyoshi Yanagihara, Hideki Yokoo, Tadashi Kondo
Organizer
HUPO 2022 Congress
Int'l Joint Research
-
-
-
-
-