2022 Fiscal Year Research-status Report
Autophagyに着目した、膵癌における免疫抑制微小環境の解明と新規治療開発
Project/Area Number |
22K07235
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
当間 宏樹 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (80437780)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐田 政史 九州大学, 大学病院, 助教 (10783508)
阿部 俊也 九州大学, 大学病院, 助教 (20722028)
森山 大樹 九州大学, 大学病院, 准教授 (70586859)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 膵癌 / Autophagy / CAF / 腫瘍免疫 / 腫瘍免疫微小環境 / 樹状細胞 / 膵癌間質 |
Outline of Annual Research Achievements |
難治性腫瘍の代表である膵癌においては腫瘍免疫療法の有効性は示されていない。我々は、膵癌の免疫抑制性微小環境を形成する重要なファクターとして膵癌微小環境におけるAutophagyに着目した。特に、いまだ明らかにされていない「膵癌細胞のAutophagyと樹状細胞の関係」「CAFのAutophagy抑制による膵癌微小環境と腫瘍免疫への影響」の2つにフォーカスし、Autophagy抑制剤と腫瘍免疫療法との併用効果を検証し、停滞する膵癌治療においてブレイクスルーとなり得る新規治療法の開発を目指す。 初年度はまず、CAFのAutophagy抑制による膵癌免疫微小環境への影響を検証した。KPCマウスから樹立したCAFを利用し、これにshRNAを用いてAutophagy関連遺伝子であるATG7をノックダウンしたCAF shATG7を樹立した。CAF shNCとCAF shATG7を、それぞれKPC細胞(マウス膵癌細胞)と共に、B6マウスに移植し、それぞれの腫瘍の免疫微小環境をFACSにより検証した。結果としては、腫瘍のサイズに有意な差は認めず、FACSの解析でもCAF shATG7と共移植した腫瘍においてCD8+ T cellが増加傾向ではあるものの有意な差は認められなかった。一方で、癌細胞のATG7を抑制したKPC shATG7を同様にB6マウスに移植したところ、腫瘍は有意に縮小し、FACSでもCD8+ T cell、活性化樹状細胞(DC)の有意な増加を認め、DCの活性化を伴う強力な抗腫瘍免疫が惹起されることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、我々は膵癌における腫瘍免疫とAutophagyの関係性について、「膵癌細胞のAutophagyと樹状細胞の関係」と「CAFのAutophagy抑制による膵癌微小環境と腫瘍免疫への影響」の2つにフォーカスして研究を開始した。初年度ではまずCAFのAutophagy抑制について検証したが、CAFのAutophagy抑制では期待していたほどの免疫増強効果は得られなかった。一方で、癌細胞のAutophagyを抑制した場合は、著明に腫瘍が縮小し、免疫微小環境の解析でもCD8+ Tcellや活性化DCが増加していることが分かった。また、すでにin vitroの共培養実験において、癌細胞のAutophagy抑制によりDCが活性化することを確認しており、初年度の実験結果から、膵癌微小環境におけるAutophagy抑制の効果は、CAFよりも癌細胞に対する効果がより重要である可能性が示唆された。これらの可能性が示されたことは、今後の研究の方向性を決めるにあたり非常に重要なことであり、以上のことから研究の進捗状況はおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の結果から、CAFよりも癌細胞のAutophagyがより膵癌免疫微小環境に影響していることが明らかになったため、今後は、癌細胞のAutophagyと樹状細胞の関係によりフォーカスして研究を進めていく。具体的には、当初の計画通りAutophagy抑制癌細胞を用いたin vivoでのVaccination実験や、膵癌同所移植マウスモデルを用いたscRNA-seq解析により、癌細胞のAutophagyを抑制した際の、より詳細な免疫微小環境を解析する予定である。 最終的には、Autophagy抑制剤を併用した新規複合免疫療法の開発を目指す。
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Causes of Carryover |
研究計画はおおむね順調に進展しており、資金を有効に使用できたため。 次年度は引き続き研究用試薬、抗体、研究用器材等に使用予定である。
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