2023 Fiscal Year Research-status Report
An exploratory study of extracellular mitochondrial proteins as novel markers of insulin resistance.
Project/Area Number |
22K07403
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
高橋 伸彦 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (20372279)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 敦 北海道大学, 理学研究院, 教授 (90422005)
大村 一将 北海道医療大学, 歯学部, 准教授 (10803637)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | インスリン抵抗性 / 病態マーカー / ミトコンドリア / タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病はインスリン分泌不全とインスリン抵抗性とが相まって慢性の高血糖を呈する疾患である。これらインスリン分泌不全や抵抗性は糖尿病患者一人一人でその程度が異なっているため、治療の個別化に際して正確かつ簡便な病態評価が求められる。しかしながら、実臨床においてインスリン抵抗性を正確に評価できる病態マーカーは得られていない。一方、最近、ミトコンドリア機能と糖代謝異常とが密接に関係することが注目されている。そこで本研究では、インスリン抵抗性の病態を反映しつつ細胞外に分泌されるミトコンドリア蛋白質について、分子生物学的な手法を用いて基礎的な面から探索・同定し、その知見をもとにインスリン抵抗性の体液診断に役立つ新たな病態マーカーの創出を目的としている。 昨年度は糖代謝の変化を反映するミトコンドリア関連タンパク質のいくつかについて発現解析を続けているが、現時点では一定の結論を出すまでに至っていない。一方、新規糖尿病治療薬イメグリミンは膵外作用としてインスリン感受性を高め、肝臓や膵β細胞のミトコンドリアに作用することが報告されていることから、本研究でもこの作用に興味をもち検討を行った。その結果、イメグリミンは脂肪細胞のミトコンドリア呼吸鎖複合体Ⅰの活性を抑制すること、およびミトコンドリアDNA量を増加させることを発見した。さらにイメグリミンはミトコンドリアに関係した小胞体ストレス応答を惹起すること、ミトコンドリアストレス時に分泌されるマイトカイン(Fibroblast growth factor 21やGrowth differentiation factor 15)の産生および分泌が亢進することもつきとめた。これら一連の成果をまとめあげ、英文学術誌に投稿した(現在、改訂中)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
糖代謝の変化を反映するミトコンドリア関連タンパク質に関しては探索の途上であるが、ミトコンドリア機能を修飾する新規糖尿病治療薬であるイメグリミンが細胞外にマイトカインを分泌することをつきとめ成果を投稿することができた。これら研究経過を大局的に評価し、順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
糖代謝の変化を反映するミトコンドリア関連タンパク質について探索を続ける。それとともに、昨年度に発見したミトコンドリアに作用しインスリン作用を改善する薬剤:イメグリミンと糖代謝との関係について得られたいくつかの知見も併行して検討を加える。
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Causes of Carryover |
理由:新たな発見に伴い、当初の計画とのずれが生じたため残額が発生した。 使用計画:当初の計画に従い、残額を使用していく予定である。
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Remarks |
北海道医療大学歯学部 生体機能・病態学系 内科学分野ホームページ https://www.hoku-iryo-u.ac.jp/course-guide/course/dent/naikagaku/top/
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