2023 Fiscal Year Research-status Report
Argyrophilic grain in age- related motor and cognitive impairment
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22K07538
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
村山 繁雄 大阪大学, 大学院連合小児発達学研究科, 特任教授(常勤) (50183653)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 認知症 / 嗜銀顆粒 / 神経原線維変化 / 老人班 / レビー小体 / TDP43 / アルツハイマー病 / レビー小体型認知症 |
Outline of Annual Research Achievements |
大阪大学発達障害・精神・神経疾患ブレインバンク(BBNNPD)、東京都健康長寿医療センター高齢者ブレインバンク(BBAR)の登録例を、BBARプロトコールに従い網羅的スクリーニングを行った。半脳凍結・半脳固定を標準とし、切り出し部位はCERAD、DLB Consensus Guideline、EURO CNS研究切り出し部位を網羅するかたちをとった。通常染色はH.E.、K.B.染色とし、免疫染色として、抗タウ抗体(AT8, RD4, RD3)、抗アミロイドβ蛋白抗体(12B2:11-28)、抗αシヌクレイン抗体(Psyn#64、MJF-R3)、抗TDP43抗体(PSer 409/ 410)を用いた。ステージ分類には、アルツハイマー型神経原線維変化は、Braak AT8Stage、老人班はBraakアミロイドステージ、CERADとThalステージ、レビー小体関連病理はDLB Consensus Guideline, 1st, 4thとBBAR ステージ分類、TDP43はBBARステージ分類、嗜銀顆粒はSaito Stageで評価した。脳血管障害に関しては、生前MRI画像を参考に正確な評価を試みた。臨床的な認知・運動症状については、病歴を後方視的に詳細に検討した。Gallyas鍍銀染色は不安定で、国際的にも本邦のみで採用されていることが明らかとなり、参考にとどめることとした。今年度は純粋嗜銀顆粒性認知症例の抽出を試みた。両バンクで、新皮質・脳幹に後半に拡がる一例が検出出来、英文誌に原著報告した。Saito分類Stage 3で純粋例は、アルツハイマー病より高齢であり、進行が緩徐かつ軽く、記憶障害が最多で、精神科例で強調されている前頭側頭型認知症の症状は軽微で、注意集中力障害が主であった。軽度を含めるとPART合併例は半数を超え、TDP43合併例も約半数であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Braakによる嗜銀顆粒の定義であるGallyas鍍銀染色は、英米では技師が染色出来ず、ヨーロッパ大陸でもほとんど使われていないことが、今年度ベルリンでの国際神経病理学会で明らかになった。大阪、東京拠点とも、同染色は技師間は言うに及ばず、同一技師内でも染色がぶれることが問題であった。今回米国神経病理学会で嗜銀顆粒の確認に抗リン酸化タウ抗体と4リピートアイソフォルム特異抗体を用いることが呈示され、国際標準化の面でその方法を採用し、Gallyas鍍銀染色は参考にとどめるかたちに修正を行った。 ブレインバンク新規登録数に関しては、大阪大学発達障害・精神・神経疾患ブレインバンクは15例で、ブレインバンクドナーが5例を占めた。新規に加え、既往蓄積例についての免疫組織学的スクリーニングを開始し、Saito分類に合わない純粋広汎型1例が検出出来た。MAPT変異がないことを確認の上、英文原著として症例報告できた。免疫組織学的スクリーニングにより、嗜銀顆粒検出が容易となったことによる成果である。 筆頭研究者クロスアポイント先の健康長寿医療センター高齢者ブレインバンクでは、在宅高齢者支援総合救急病院連続開頭剖検40例を蒐集出来たが、ブレインバンクドナーが1/4を占めた。今回免疫組織化学スクリーニングを重視するかたちにより、Gallyas鍍銀染色での判断がメラニンの存在で難しい黒質での嗜銀顆粒病変の検出が容易となり、認知症だけでなく錐体外路症状への関与も検討の対象となる点が明らかとなってきた。 大阪、東京拠点とも、完全に純粋な嗜銀顆粒性疾患はなく、軽微な症例を含めるとアルツハイマー型神経原線維変化は全例、LATE- NC(neurological change)は半数であり、総合評価を目指す本研究の重要性が確認された。
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Strategy for Future Research Activity |
嗜銀顆粒について、Cambridgeグループとの共同研究でのクリオ電顕結果のNature発表により、嗜銀顆粒が独立した構造として英国で認知されたことに続き、米国神経病理学会でも抗リン酸化タウ抗体と抗4repeat tau isoform特異抗体(RD4)による同定法が呈示された。BraakによりGallyas鍍銀染色で定義された構造であるが、同染色は現在国際的に、日本の少数の施設のみで採用されている。本研究ではRD4抗体免疫染色による形態病理、抗タウ抗体のWesten blotでCBD patternを取ることを根拠とし、Gallyas鍍銀染色は補助として用いる方針とする。この方法の採用で、国内的にも国際的にも共同研究の範囲を拡げることが可能となる。 LATEあるいは加齢に伴う辺縁系へのTDP43蛋白蓄積症については、本邦に純粋例はほぼ皆無である点はかわらず、引き続き日本神経病理学会ブレインバンク委員会を通じたサーベイランスを続ける。Chronic traumatic encephalopathy(CTE)はタウに加えTDP43が高率に沈着するが、本邦、ウィーン高齢者長期縦断研究では認められなかった。米国退役軍人剖検研究でもアメリカンフットボール経験者に限られ、一般には他にアイスホッケー経験者にのみ認められることが定説となりつつある。LATE- NC(neurological change)は当初米国では、若年者で問題にならない全身麻酔等の医療介入、肺炎を含む重症病態の関与が示唆されていたこともあり、本邦での高齢者医療の質の高さが影響している可能性がある。 PARTあるいは神経原線維変化優位型老年性変化に関しては、嗜銀顆粒の混在を示す症例が3/4を占める点はかわらなかった。 今年度新たに嗜銀顆粒とARTAGとの疾患概念の擦り合わせを今年度国際共同研究で明らかにしていく予定である。
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Causes of Carryover |
年度内での消耗品購入を見送ったため、残高が発生したもの。次年度、必要に応じて購入品を検討する。
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[Presentation] 筋萎縮性側索硬化症における運動皮質興奮性とastrogliosisの関連についての検討2023
Author(s)
東原真奈,石橋賢士,小松大樹,栗原正典,松原知康,メノン パールバティ,バンデンボス メフディー,波多野敬子,井原涼子,齊藤祐子,加藤貴行,仁科裕史,金丸和富,園生雅弘,村山繁雄,徳丸阿耶,ブチッチ スティーブ,石井賢二,岩田淳
Organizer
第64回日本神経学会学術大会
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[Presentation] 高齢者連続剖検コホートを用いた中脳における嗜銀顆粒の分布に関する検討2023
Author(s)
荒川晶,荒川晶,塩谷彩子,原愛徒,原愛徒,織田麻琴,松原知康,仙石錬平,村山繁雄,村山繁雄,戸田達史,齊藤祐子
Organizer
第64回日本神経学会学術大会
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